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ボランティア活動ーアセラ教員養成大学での活動をー

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目次

 1  ボランティア活動の基本的な流れ
 2  アセラ教員養成大学での活動
 3 化学実験
 学生の実験技術レベル
  グラフの書き方
4 物理実験
5 生物実験
  6 その他
  7 クリーンデイ(環境美化の日)
  8 エピソード


1 2年間のボランティア活動の基本的な流れ トップへ

1 JICA事務所で約1ケ月間、任国(被援助国)の現状、日本の支援、安全、健康面、注意点、現地語の 学習など生活していくために必要な研修を受ける。その後配属先に派遣される。

2 ボランティア活動は、任国(被援助国)からの要請に従い実施するのが基本である。しかし、配属 先の要請内容が違っていたり、時には要請がない場合もある。これは配属先の担当者の人事異動で引 継ぎがなされていないこともあるからである。そのような時には、配属先と相談して新たな活動を探 すことになる。自己開拓がボランティアの基本でもある。

3 最初の半年間は任地で生活ができるように、現地の生活に慣れ、人々と友好関係を築き、活動を開 始する準備期間である。この間に活動計画を配属先と相談し、理解が得られるように立てる。半年後 JIA事務所に活動計画を提出し、本格的な活動に入る。

4 半年ごとに活動報告を提出、計画の変更、問題、成果などを洗い出し、2年間の活動が充実するよ うに軌道修正も含めて、定期的にまとめ報告する。これは日本国民への情報公開でもあり、ネットで 検索できることになっている。

5 1年後(開始から半年後)、中間報告会を実施し、互いの研修の場とする。この時、配属先など任 地の関係者を招待し、意見などを聞く機会とする。最終報告会は帰国前に実施する。

2年間の活動を通して分かることは、ボランティア活動は、名の通りボランティア、つまり本人の意志で行う活動で、決してお金を対価とする活動ではない。草の根活動といわれる所以である。分かりやすく言うと、仕事ではなく、自分の出来る範囲で決して無理をせずに、ボランティア精神で少しでも良いから配属先に受け入られるような活動をするということである。成果はあまり求められないので、自分の裁量で自由な範囲で活動できるという点で、私にとって充実した2年間になった。JICA事務所は、ボランティア活動の目的は、「隊員が不自由な環境で、日本では経験できない貴重な経験を重ね、帰国後何らかの形で日本社会に貢献すること」という。どう貢献するかも隊員次第である。多くの隊員が自分にとって貴重な経験ができたという点では一致しているが、2年間の隊員生活の自己評価は様々である。JICA事務所にとって隊員が無事帰国することが重要というが、2年間活動すればそれが理解できるようになる。日本が国際テロ組織から標的に名指しされている現状では尚更である。

はじめにボランティア活動への批判的とも言える内容を書いたが、これは、ボランティア活動の問題点、課題の指摘であり、改善を願ってのことである。ネットで検索すれば、このような指摘は多い。

以下、私の活動内容、経験を詳細に報告します。

理科教師の活動内容

現在、青年海外協力隊(JOCV)は小学校、シニアボランティア(SV)は教員養成大学に派遣されている。実験技術を教師や児童生徒に教えることが基本で、理科教育を暗記中心の知識偏重から実験実習を通し、科学的に考える力を養うことを狙いにして活動している。隊員によっては、授業を受け持ち評価もする隊員もいて代用教員のような重要な働きをしている。私の配属先はアセラ教員養成大学である。

2 アセラ教員養成大学での活動 トップへ

アセラ教員養成大学は、義務教育の教師を育成する大学で卒業生は、小学校の教師になる。設立は1995年で中間、夜間コースあり学生の総数は約6700名である。アセラの義務教育の中核を担っている。敷地には「教師は将来へ導く」というすばらしい標語があり、エチオピアの教育への期待の大きさがうかがえる。10月上旬は、朝日が正門から昇り、学生を祝福しているようである。校舎はブロック積みの一階平屋建てである。

ボランティアへの要請内容

1 身近な材料を活用した理科実験の紹介と実験器具と実験書の作製。

2 学生実験に参加し 学生に実験の技術指導をする。

3 他のボランティアと連携し、科学セミナーを開催し、小学校の理科教師へ実験指導をする。

グループ型活動:JICA事務所が提唱するもので、同じ町に同じ職種で活動しているボランティアが協
力して行い、ボランティアの活動の質の向上を期待する。

4 実験室の整備と実験助手への指導

である。

要請の背景

エチオピア政府は産業を農業中心から工業へシフトし、経済成長を継続し、2025年には中所得国に仲間入りすることを目指している。産業の発展のためには、技術者を育てなければならない。そのためには理科教育の充実、理科教師の質の向上が欠かせない。日本はそのために、学校づくりなどのハード支援、カリキュラム改善、授業法などのソフト支援を行っており、ボランティアは、学校現場で実験指導を行い教員の教育技術を向上するために派遣されている。

多くの学生が二十歳前後であるが、年長に見える。中には教員資格を取るために入学した30歳以上の学生もいる。皆友好的でいつも学生に囲まれていた。学生はよく質問をし答えると必ずありがとうと返してくれる。ただ、自分で考えずにすぐに質問をしてくるのは問題である。

エチオピアの大学では講義をする教師(インストラクター)と実験指導をする教師(ラボテク)は立場がはっきり分かれ、ラボテクは日本のような実験助手の立場ではない。アセラ教員養成大学ではラボテクは一人で授業を担当している。

3 化学実験 トップへ

長机が二列あり、学生は向かい合って実験をするため、班活動としては不便である。ガスボンベがいくつかあり燃焼実験はできる。水道は一か所あるが断水がたびたびあり、使えない時は水をバケツに溜め置きしておく。電気は通じている。学生は土足で上がるため床が土で汚れ、ゴミ箱があっても紙屑をゴミ箱に入れる習慣がないので、いつも紙屑が目につく。マッチの燃えた軸を床に捨てるのも平気である。ガラス器具はあるが汚れている。日本では考えられない実験環境であるが、地方の大学によっては、試験管、ビーカーが揃っていないところもあるので、比較的良い環境と思われる。純水装置は夢の話であるが、準備室に蒸留式純水装置が1台あった。中国からの寄贈で取り扱い説明書が中国語なので分からないという。中国の支援の在り方が良くわかる。中国は援助方法は技術指導はせずに、本国から持ってきたものを置くだけである。被援助国に役立てるという考えがないことがこのようなことからも見てとれた。

併設の準備室には試薬は揃っている。援助国(ドナー)から提供されたものという。試薬の分類が不十分で薬品棚にラベルが貼っていないので整理した。実験室の壁が殺風景であったので、周期表、化学結合など基本的な図を模造紙に書いて掲示し化学室らしくした。これは大変ありがたく受け止めてもらった。しかし、しばらくすると壁からはがれ、その都度、留め直すように注意をしていたが、いつの間にかはがれた図から無くなり、帰国時にはほとんどなくなっていた。結局何のために行ったのか、がっかりした。

化学のラボテクは温厚で友好的で、鍵をいつも貸し出してくれたので、教材づくり、実験などいつでもでき活動しやすかった。ラボテクと良好な関係が築けたことが大きかった。


学生の実験技術レベル トップへ

大学には基本的な実験器具は揃っており、日本の中学レベルの実験はできる。しかし、学生は大学入学まで実験経験が全くないので器具の使い方を知らない。

銅の密度の測定―メスシリンダー法―

実習は、銅の質量を天秤で測定し、水を入れたメスシリンダーに銅片を入れて、体積の増加を読み取り、銅片の体積を求め、g/cm3に代入し密度を計算する。この実験で必要な測定技術は①メスシリンダーの読み方②天秤の使い方③計算力である。

①メスシリンダーの読み方を知らない。

水面が表面張力のため二重に見えるので図のように下の線で読み取る、日本では中学で必ず学ぶ。どの学生も上のラインで読むので、黒板に書いて間違いを指摘すると学生は納得する。しかし、再び読むと同じ間違いをする。断面図と実物の関係が結びつかないのである。繰り返すうちに理解するようになっていく。小学校の教科書にはメスシリンダーの読み方の図が掲載されているが、学校にはメスシリンダーがなく、授業で実習を行っていないため知らないのである。学生だけではなく教師も正しい読み方を知らないため、小学生に教えられていないのである。ラボテクも正しい読み方を学生に教えることはなかった。

②天秤の使い方を知らない。

天秤を使うのも初めてのようで、始めにゼロ調整をすることを知らない。目盛りの針の読み方が学生によりまちまちで、図のように三者三様で目盛りの中央で読むことを知らない。読み方を間違えれば密度の値を正しく求められない。

③計算力

密度の単位Kg/m3、g/cm3はよく知っている。金属の密度の場合日本ではg/cm3で表すのが一般的であるが、学生はKg/m3の単位を使おうとする。それは間違いではないが、中には1g=1000Kgとノートに書いている学生もいて、密度計算ができない。mL=cm3を知っている学生は少なく、水の増加分が銅片の体積を示すことを知らないので、計算方法が理解できない。密度計算は 銅の質量(g)/銅の体積(/cm3)で簡単である。計算結果は、9.0g/cm3に近い値になれば実験は上手くいったと評価できるが、学生には銅の密度が9.0g/cm3であることを教えられていないので、結果が正しいかどうか判断することができない。実験結果に疑問を持たずレポートを完成する。中に5.0g/cm3とする班もあり、この結果は銅の体積を大きく測定していると思われたので、私も同様な方法で行ってみた。分かったことはメスシリンダーの中の銅片には空気泡が付着し、体積が大きくなってしまったのである。メスシリンダーを揺すり、空気泡をできるだけ取り除き測定すると、正しい値に近くなった。学生の実験技術と知識、計算力を考えると、このレベルを求めるのは難しいと思われた。これが学生の実験技術であり、基礎的な技術の習得が課題であることがよく理解できた。

ろ過の方法も図の様である。正しい使い方は、ロートの足の部分をビーカーなどの壁に当てろ過するが、コニカルビーカーにのせて行うのは正しくない。ラボテクも指導はしない。

エチオピアの小学7年生の教科書にはコニカルビーカーでろ過する方法の写真があった。これは間違いである。一事が万事この調子なので毎時間、基本操作を繰り返した。クラス、学年が違うので多くの学生の指導をし、交流が深まった。

化学反応式

学生ノートより 赴任中、大学生や小学7年生、8年生の書く化学反応式は、係数を書かないか、書いても間違いが多いのである。教師の板書にも間違いが見られた。

学生の間違い例 Mg +HCl=MgCl + H     Mg+O2 → MgO

正解      Mg +2HCl=MgCl2 + H2  2Mg+O2 → 2MgO

化学反応式で係数を書くことの意味は、モル計算をし、量を把握するために極めて重要なことで、係数を書かないことは、反応の意味を理解していないのと同じである。学生は係数の重要性を理解しておらず、教師の指導も不十分で、このまま小学校の教師になれば、正しい指導ができないことがわかる。学生たちはこれまで化学反応式を書く上で、重要な指導を受けて来なかったのである。学生がモル計算が苦手なことも理解出来る。これでは工業化は不可能と言っていいぐらいである。技術者が育つような理科教育でないことが学生の授業からわかり、エチオピアの課題、ボランティアの活動だけではまるで焼け石に水のような働きしかできないことも分かった。JICA事務所はこのことを理解していると思うが、底辺を改善する援助はボランティアの活動以外は見られない。


グラフの書き方 トップへ

温度と反応速度の関係

実験を終えるとグラフ化することが大切である。下の実験は温度と反応速度の関係を考えることを目的にし、赤色の過マンガン酸カリウム溶液に鉄粉を入れ、温度を変えて過マンガン酸カリウムの酸化作用により赤色が消えるまでの時間を測定する実験である。結果から温度が高いほど反応時間が短くなっていくことがわかるが、これを正しくグラフ化し、温度と反応時間の関係を考察することがねらいである。

左が学生のグラフである。ラボテクはグラフ用紙を配布しない。学生はグラフ用紙を持っていないので、白紙の紙に書かなければならない。学生は定規を持っていないので、ボールペンを定規代わりにしてマス目を引く。グラフの縦軸が温度で横軸が反応時間である。図のように結果をそのまま等間隔に印していく。そのため結果は、右下がりの直線のグラフになる。グラフの間隔が正しくないことにどの学生も気づかない。これまでグラフ用紙を使ったことも、グラフを書いた経験もないと思われる。右が私が書いたグラフであるが、このように等間隔に目盛りを付けグラフ用紙をつくることから指導しなければならない。基本的なことが身に付いていないことがよくわかる。実験準備室にはグラフ用紙が保管されてあるのでなぜ学生に配布しないのかよくわからない。2年間滞在し学生がグラフ用紙を使っているのは一度も見ることはなかった。このようなことを一つひとつ指導していくのがボランティアの役割である。真に草の根の支援である。



4 物理実験 トップへ

化学実験と同様に測定技術が身に付いていない。定規や分度器の使い方を知らない。長さを測定する時、定規の目盛りのゼロに当てず、定規の端に当てて測ろうとする。分度器も同様で図のような測り方をしてしまう。これには驚いたが、初めて使うので仕方がない。繰り返し説明すれば理解する。電流計、電圧計を使うのも初めてなので扱い方を知らないのはやむを得ない。回路図を見ても始めはそのようには接続できないし、メーターの針の読み方も知らない。一目盛りはいつでも0.1と思い込んでいるところがある。日常生活で量を測るということがないので、止むを得ないかもしれない。日本では算数セット、定規、分度器、コンパスの使い方を小学校で学ぶ。充実した教材である。子どもにハサミを使わせると両手で持って切ろうとし、危険である。ハサミを使ったことがないからである。セロテープの使い方も下手で不必要に長く取り出す。物が普及していないことが、教育活動にも影響を現している。

 

物理のラボテクは学生への実験指導をいつも厳しく行っていた。火曜日の授業の終了は午後6時であった。エチオピアでは遅刻に対して厳しく、授業に遅れてくる学生は中にいれないこともしばしばあった。理由がない限り入室は許可されなかった。学生もそれを理解していた。実験は班別で行い、わからないとすぐに質問してくる。知識はそこそこあっても実験の経験と技術がないため、実験図を見ても手がつかないからである。化学同様グラフ用紙が配布されないので、同じ間違いをしていた。実験後時間内にまとめてレポートを連名で出す。このような時はいずこも同じでよく理解している学生がまとめを行い、中には見ているだけの学生もいる。

物理の実験器具は高価で大学が自ら予算で購入したのではなく、先進国からの贈呈が多いと聞く。科学実験は実験器具がなければ間に合わせの物ではできない場合が多い。エチオピアは実験器具の製造が自身の国でまだできず、輸入しなければ手に入らない。国の予算の3割が援助に頼っている現状では、高価な輸入品を大学をはじめ学校に生徒実験ができるように整備することはまだまだ遠い話である。

5 生物実験 トップへ

テーマ 方形枠による植物の生態調査の方法の学習

座学 ①4m2に何kgの植物があり、4ケ所の平均を求め、1000km2に換算する方法。

②4m2に何本の植物があり、5ケ所の平均を求め、20000km2に換算する方法。

共に比例計算の方法を指導し、学生はよく理解できたようだ。字はオロモ人の言語であるオロモ語、オロモ語は文字のない言語で、発音をアルファベットに置き換えて文字にしている。

実習 座学の後、大学の敷地にあるトウモロコシ畑で方形枠をつくり、トウモロコシの茎の数を数えているところである。平均値を出す方法を見ていると、二桁の足し算を筆算で行うのにも時間がかかっている。暗算は苦手なようである。海外で日本人の計算力の高さが評価されるが、やはりそうであった。エチオピアの小学校でも九九を教えている。教材室には暗算表があり、12×12まで覚えることにはなっている。もし身についていれば得意のはずだが。



6 その他 トップへ

地球の断面図

エチオピアには理科に地学という科目はなく、地理と重複する内容なので地理の中で教えている。下は学生の地球の断面図である。あまりのお粗末さに唖然とした。これが教師が黒板に書いた図であればなおさらである。まるで植物の種の断面である。地殻、マントル、核の言葉は知っているのであろうが、正しく理解されていない。地球が縦長の楕円として描かれ、マントル、核が三角形である。

頭の真上に来る太陽

エチオピアに来る前から 天頂に太陽がくることが経験できると楽しみにしていた。9月上旬にその日が訪れた。

写真は2013年9月5日で学生の影が真下にあり、太陽が天頂にあることを示している。早速 確かめるために重りを垂らして影ができないことを確認した。写真の影はストローの影で、紐の影ではない。このあとすぐに紐の影は現れた。

暗記重視の弊害

ある時、学生が宿題を尋ねてきた。エネルギーに関する文章問題で、式を書いて解答すると、その式を見て、「公式か」と聞いてくる。文章を読んで書いた式で公式ではない。エチオピアの学生と接していてこれは良くあることで、すぐに公式を聞きたがる。日頃の学習が公式に代入することが中心なのである。考えて答えを出すという習慣がない。これは義務教育の教科指導法に関わる重要な課題である。教育隊員は半年で皆このことに気づく。実験技術の指導法だけではなく、指導法の改善が重要であることがわかる。エチオピアの教育課題は多い。

7 クリーンデイ(環境美化の日)トップへ

2013年12月6日は年に一回の清掃の日で、学生と教員総出で大学の敷地を清掃する日であった。敷地に散在している紙屑、ペットボトルなどのゴミが気になっていたので、私も協力しようとゴミ袋を何枚か用意して参加した。朝から学生が集まっていた。

学生と教師はグループに分かれそれぞれの持ち場で作業を開始した。学生は紙屑を誰も拾おうとはしない。ゴミ袋が用意されていないからか。手分けして枯れ木を集めたり、大きな石を運んだり、敷地の盛り土を水平にならしたりしている。枯れ枝や枯れ葉をあちこちで燃やし始め、紙屑と言えば教師がオフィスから持ってくる紙類だけで、キャンパスに散らかっている紙屑を誰も拾おうとはしない。日本ではクリーン作戦といえばゴミ拾いの日と決まっているので、そのつもりでゴミ袋を用意したが全く無駄であった。でも、私が一人でゴミ拾いをしていると、学生は協力して一緒にゴミ集めをするようになった。数人は私と一緒に歩き回ってゴミを拾い集める。小さなゴミまで拾って袋に入れ、ごみ焼き場まで一緒に持って行っていく。多くの学生が私の周囲に集まってきて賑やかな話が始まり、ゴミ拾いは中断となる。数か所で同じことが繰り返された。私が拾い集めているとすぐに人だかりができて作業を邪魔になることもあるので、少し離れて一人で紙屑を拾い集めた。すると通りかかった先生が「何をしているのだと」聞いてきた。これには驚いた。クリーンデイに紙屑を拾っているのを見て「何をしているのだ」と聞いてくるのだ。今日はクリーンデイなので紙屑を拾っているのだとバカみたいな答えをすると、そうかという返事であった。この先生には私のゴミ拾いがどのように映ったのかはわからない。エチオピアではゴミを拾うという習慣はなく、ゴミという認識そのものがないようだ。私は、学生たちには、キャンパスに落ちている紙クズはゴミだと何回も言った。学生もゴミというのに反対はしないが、どうやら環境を汚すという意識はないようだ。ある学生はバクテリアが紙屑を分解するといったが、ゴミ拾いとバクテリアの分解は別の話だ。エチオピアでは、紙屑はゴミという廃棄物には映っていない。何回も学生に「ゴミを捨てるべきではない」と言ったが理解してくれただろうか。教室に落としていく紙屑もゴミとは目に映らない。教員も同じである。

ある日、学生数人ががキャンパスで大きな紙からアルファベットを切り出しているのを見た。聞いてみると教育実習で使う教材を作っているという。小学生に英語を教える教材であろう。学生たちが作業をし終えた後、そこに残されていたものは、大量の紙屑であった。また、ある時、先生がオフィスの清掃をし、本棚などの大型のゴミをオフィスの前に放置したままにしてあった。自分の部屋はきれいにしても周囲が汚れることには一向に気にかけないようだ。街を歩いていると、朝、店の中からゴミを掃き出しているのをよく見かける。これも同じ行動である。ラボテクに教室やキャンパスのゴミはどうなるか聞いてみると、時々クリーナー(清掃員)が学校にきて掃除をするから、自分たちは掃除をしなくてもいいのだという。日本人は身の回りの清掃と業者の仕事は区別して考えるが、そのような考えはないようだ。

昔の日本でも、日本人はゴミを直ぐに捨てて公衆道徳がないと言われていたことを思い出す。現在の日本人の環境への意識、清潔好きは、高度経済成長後言われ出したことである。エチオピアにもいつかそのような時代がくるのであろうか。



8 エピソード トップへ

①ある日、学生にエチオピアの政治について聞いてみると、エチオピアには自由があるという学生が多いなか、現在は変化中だという学生がいた。この学生は賢明な若者であった。

学生が社会や政治に対して疑問や不満をもつのはどこの国も同じで、大学によっては抗議活動が起きることもある。アセラ教員養成大学では、私の赴任中抗議活動は一度もなかった。ある時、授業がないので聞いてみると、政府から役人が大学に派遣され、学生たちに義務について話をしているという。国政選挙に備えての政府の対策であった。選挙で抗議行動が起きないように事前に理解を得るための対策である。これは表現の自由をソフトな手法で認めないことの一例で、日ごろから当局の政治指導が国民に対して行われている。表面的に穏やかに見えても、注意していると独裁的な手法をとっていることがわかる。現政権は、少数民族のテグライ人が多数民族のオロモ人とアムハラム人を支配し、利益ががテグライ人に集まり、多民族にはゆき渡らない状況があり、国民の不満が高くなり、抗議デモが起こり、武力で鎮圧し、非常事態宣言が出されている。政情不安な状態で、内戦に発展しないことを祈る。

②図書館に侵入したジャコウネコ 夜間に侵入したらしく数日 図書館に閉じ込められた状態であった。学生も集まり一時人だかりができるほどであった。写真を撮って館長さんにプレゼントした。私が勝手に入り撮ったので館長さんのご機嫌は良くなかった。

③学生はほとんど現金を持ち合わせていない。昼食をとらない学生も多いようだ。ボールペンを欲しがったり、経済的援助を申し出る学生もいる。

学生は写真を一緒に撮りたがり、多くの学生に活動へのお礼の気持ちで焼き増しをして配った。エチオピア人はデジカメを持っている人は少ない。まだまだ高価な電化製品なのだ。アセラの街には写真スタジオが一軒あり、記念写真の撮影と焼き増しでいつも混んでいる。焼き増しはCDに焼いて持っていくとコピーをしてその場でやってくれる。エチオピアの街であれば必ずフジフィルムの大きな看板を見かけ分かりやすい。

 

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