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大気圧

大気圧

日ごろの生活で大気圧を感じるのは、トンネルに入り耳が痛くなったり、プールで底に潜った時に耳が痛くなったり、登山をしてお菓子の袋が膨らむ時などである。私たちは大気(空気)の底で暮らしており、日ごろは大気圧(空気の重さ)を感じることはないが、様々な実験を通して、空気が及ぼす大気圧や空気の膨張や収縮が圧力を変化させることを理解する。
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目次

1.上昇する水面
2.くっ付く吸盤
3.止まる水面
4.噴水(空気の膨張)
5.ぶら下がるペットボトル
6.くっつく紙
7.舞い上がる紙
8.押される屋根
9. 浮かぶピンポン玉
ベルヌイリの定理
10.表面張力-大気圧と間違える実験-
11.上昇する水面 
12.マグデブルグの半球-減圧と大気圧-
13.温度計
14.マリオットのビン
15.減圧で沸騰
16.逆さコップから落ちない板-大気圧と表面張力-
17.燃焼後の水面上昇ー酸素消費による空気の体積減少?ー

実験

1.上昇する水面      トップへ

ねらい 大気圧により周りの物体が押されていることを水面の上昇により確認する。
材料 ペットボトル、 ストロー、水槽、ピンポン玉、はさみ、接着剤、セロテープ
方法 1.はさみでペットボトルの底を切り取る。 
2.蓋の中央にストローが入る穴を開け、隙間をテープで留めて接着剤で密閉する。 
3.水槽に水、ピンポン玉を入れ、ペットボトルを図のように入れる。 
4.ストローを吸う。
結果 水面が上昇する。

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ペットボトル内の空気を吸うとボトル内の空気は希薄になるので内部の圧力は低下し、周囲の大気圧よりも小さくなる。水槽の水面に大気圧で押されているので、その力が水の中に伝わりボトル内の水を押し上げる力として働く。図のように上向きに大気圧が押し上げる力(F)とボトル内の空気圧による力(F1)と水が重力に下に落ちようとする力(F2)がつり合い、F=F1+F2の状態でつり合い水面は停止した状態になる。ジュースを飲むときにストローにジュースが入ってくるのも同じ現象で、ストロー内の空気圧が小さくなり、周囲の大気圧に押されてジュースが上がってくるのであり、決して口の力でジュースを吸い上げているのではない。

2.くっ付く吸盤      トップへ

ねらい 吸盤はなぜ壁にくっつくのか、その原理を理解する。
材料 吸盤2個 アクリル板 新聞紙 重り(レンガなど)
方法 吸盤を2個押し付けてくっつくことを確かめる。アクリル板を机の上に置き、吸盤をアクリル板に押さえつけ引き上げる。また、吸盤に重りをぶら下げる。新聞紙を広げ、皺を伸ばし、中央を指でつまみ、一気に引き上げてみる。
結果 アクリル板が机にくっついたまま、なかなか上がらない。新聞紙がまるで机に吸い付けられているような感覚が手に伝わってくる。

吸盤どうしがくっつくのは、吸盤を押すことにより、吸盤から空気が押し出され、吸盤の内側が減圧し、一気圧よりも小さくなるそのため、周囲の大気圧が1気圧なので周囲から押されて吸盤がまるで接着剤でくっついたように離れなくなる。大気圧の大きさが実感できる。アクリル板を机に押し付けると、その小さな隙間の空気が押し出されて減圧し、大気圧でアクリル板が押し付けられる。同様に新聞紙が持ち上がりにくいのも、新聞紙と机の間の隙間が減圧し、上から押し付けられるからである。急に持ち上げることでつまんでいた新聞紙のところが破れることもあり驚く。

くっ付く吸盤              机にくっ付くアクリル板

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持ちあがらない新聞紙      吸盤にぶら下がるレンガ

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3.止まる水面      トップへ

ねらい ペットボトルからの水の流出が止まることで大気圧を確認する。
材料 ペットボトル、水、水槽
方法 1.ペットボトルに水を一杯入れ、水槽の底に近い所で逆さまにする。
2.ペットボトルの底近くに小さな穴を開け、水を満たして最初は蓋を開けて水の流出を確認し、その後蓋をする。
結果 1.始めは水が勢いよく出るが、ボトルの口の高さになると、水の流出はとまる。
2.始めは水は出るが、蓋をすると水の流出はやがて止まる。

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説明

ペットボトルから水を容器こぼすと、ボトルの口が容器の水面に触れた時に、水の流出は止まる。また、ペットボトルに小さな穴を開け水を満たし逆さまにすると最初は水はこぼれ出すが、次第に流出が弱くなり止まる。これらの現象は水の流出により、ボトル内の圧力が小さくなり、水を排出させる力が外側の大気が押す力に押されるためである。大気圧をPとし、ボトル内部の空気圧をP’とするとP>P’となる。ボトル内の水にかかる力は、大気圧により下から押し上げる力をFとし、ボトル内の空気が押す力をF1、水が重力で押しつける力をF2とすると、F= F1+F2となる。水の流出はこの時に止まる。大気圧を水の流出の停止で見ていることになる。

4.噴水(空気の膨張)      トップへ

ねらい 空気は温められると膨張し、密閉容器であれば周囲に力を及ぼす。この時の力を噴水として見る。
材料 ペットボトル、水、湯、水槽、ペットボトルに貼る象の絵
方法 1.ペットボトルの下部に象の絵を貼り、鼻の上近くのボトルに小さな穴を開ける。
千枚通しで開けるとよい。穴が上を向くように開けると、噴水は上に飛ぶので注意して開ける。ボトルの表面の凹凸を利用して開けるとよい
  2.ボトルに象の鼻の少し上まで水を入れ、蓋をして湯をかける。
湯は温度が高い方が噴水は良く飛ぶが、湯を扱うときには注意する。
結果 噴水のように水が飛び出てくる。

湯をかけることでボトル内の空気が温められ、密閉されているので膨張した空気は周囲を押し水面も押す。
その力で小さな穴から水が噴水のように飛び出す。

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5.ぶら下がるペットボトル(空気の収縮と減圧)      トップへ

ねらい 空気は冷却すると収縮し、水蒸気は凝結し小さな水滴になり、この時、密閉された容器内では空気圧が減少し、周囲の大気圧に押され、容器がつぶれたり、手に吸い付いたりする現象が見られる。
材料 ペットボトル、湯、水、水槽
方法 1.ペットボトルに湯を入れ、中を温めて捨てる。内側が曇っていないことを確かめる。
  2.ボトルの口に手を当てて冷水を周囲にかける。
結果 ペットボトルが手に吸い付いてくるのがよくわかる。また、ボトルが凹み周囲の大気圧で押されていることもわかる。ボトルの内側が曇り小さな水滴が観察できる。

微小な水滴で、気体の水蒸気が液体の水滴に変わったことを確かめる。この時に内部が減圧するのである。

冷水をかける              手にくっついて持ち上がる

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6.くっつく紙      トップへ

ねらい  二枚の紙の間の気圧が下がり、周りから押されることを理解する。
材料
方法 紙を短冊状に切り、図のように紙の間を強く吹く。
結果 二枚の紙は吸い寄せられるようにくっつく。

紙の間の空気が強く押し出され、気圧が下がり、周囲から押されて二枚の紙はくっつく。(下のベルヌイリの定理参照)

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ベルヌイリの定理      トップへ

「空気や水のような流体が高速で流れるとその部分の圧力が低下する。」これをベルヌイリの定理という。図のように空気の流れが細い管を通る時に圧力が低下し、下のパイプにかかる圧力が小さくなり圧力差が生じる。空気が高速で流れると周りに比べて気圧が下がり周囲から力を受けて様々な現象が見られる。

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7.まい上がる紙      トップへ

ねらい  気圧が下がり、下から押し上げられることを理解する。
材料 紙、はさみ
方法 紙を短冊状に切り、図のように紙の端を持って、紙の下側を吹く場合と上側を吹く場合の二通りの吹き方をして紙の上がり方を比較する。
結果 上側を吹いた時の方が、下側を吹いた時よりも紙のまい上がり方は大きい。

図に示すように紙の上側を吹いた時は上の気圧が下がり、下から押し上げられるが、下側を吹いた時は上からの大気圧が、紙が舞い上がるのを押さえるように働くので、上がり方は小さくなる。(ベルヌイリの定理参照)

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8.押される屋根      トップへ

ねらい  気圧が下がり、上からの大気圧で押されることを理解する。
材料 紙、はさみ
方法 1.紙を長方形に切り、図のように両端を折って机の上に置く
2.丸めた紙で内側を吹く。
結果 紙の上の部分が押されてへこむ。

紙の内側の空気が吹き出されるため、内側の空気圧が下がり、上の大気圧により押されて、まるで屋根がつぶれるかのようにへこむ。(ベルヌイリの定理参照)

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9.浮かぶピンポン玉      トップへ

ねらい  空気を押し出し、下からの大気圧で押されて落ちないことを理解する。
材料 ピンポン玉、漏斗
方法 漏斗を上下逆にして、ピンポン玉をロートの内側に入れてロートの足の部分から強く息を噴き出す。
結果 ピンポン玉は落ちずに回転しながら浮遊している。

漏斗の隙間から吹き出される息により内側の空気の圧力が低下し、外からの大気圧により押されるので、ピンポン玉は落下せずに浮いた状態になる。(ベルヌイリの定理参照)

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10.表面張力 (大気圧と間違える実験)      トップへ

ねらい  水を入れて上下逆さまにしたコップにガラス板、段ボールの紙などが吸い付いたように見える現象を、下からの大気圧によると説明している教科書があるが、この現象は大気圧よりもガラスと板の間に水の表面張力が働き、二つの物質が離れない現象であることを説明する。
材料 ガラスなどのコップ、ガラス板、段ボールなどの厚紙、水、シャーレ
方法 1. コップに水を半分ほど入れ、上に段ボール紙などを当て、逆さまにする。
2.シャーレに水を入れずにコップに水を入れて同様に行う。
3.シャーレに水を入れて同様に行う。
結果 実験の1と2は、板は落ちないが、シャーレに水を入れた場合、シャーレはすぐに落ちる。コップの中に働く力は、コップの中の空気の圧力、水の重力、板の重力で3つの力が下向きに働いている。一方上向きの力は大気圧だけである。このことから、板が落下しないのは大気圧だけでは説明できない。板を落とさずにコップに吸い付けるような力を考えなければ説明はできない。水分子には分子間力が働き、液体内部では、互いに引き合う力が均等に働くが、表面では液体内部に分子間力だけが働くため、表面の水分子が内部に引かれて、表面積が縮められるように働く。小さくなるように働く。この力を表面張力という。図に示したようにコップと板の間の水は表面張力により湾曲し、この方向は、水がガラス管を毛細管現象で上昇していくのと同じ曲面をつくる。ガラスの中に水は必要がなく、両面が濡れてさえいれば板は落ちない。もし、両面が乾いていれば、板が落ちるのは自明でこの時も板には大気圧は働いている。

 

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11. くっつくコップ ―減圧と大気圧― トップへ

ねらい  密閉された容器内で燃焼後内部の圧力が低下し、周囲の大気圧で押されることを理解する。
材料 コップ2個、マッチ、ろ紙、水
方法 1.一つのコップにマッチに火をつけ入れる。
2.ろ紙の中央に箸ぐらいの穴を開け水でに濡らしておき、コップの上に被せ直ぐにもう一つのコップを密着するように上にのせ押さえつける。
3.コップを持ち上げる。
結果 マッチの火の熱で下のコップの空気が上昇し上のコップに入り、火が消えると冷却し水蒸気が凝結するためコップの中が減圧する。ろ紙が湿っているので接着面に水の表面張力が働きコップを接着させる力として働き、内部の減圧により外側からの大気圧に押し付けられてコップが落ちない。

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12. マグデブルグの半球―減圧と大気圧― トップへ

ねらい  密閉された容器内で燃焼後内部の圧力が低下し、周囲の大気圧で押されることを理解する。
材料 同じ大きさの金属のボウルを二つ。アルコール ろ紙(紙)
方法 1 ボールより大きなろ紙を用意し、中央に図のように大きい穴を開け水で濡らす。

2 一つのボウルにアルコールを少量(5mL程度)入れて、アルコールに火をつけ、ろ紙をボウルに被せ、もう一つのボウルを合わせるように乗せる。

3 少し待ちボウルに水をかけて冷やす。

4 ボウルを持ち上げる。

結果 下のボールは落ちない。強く引っ張ても離れない。

説明 アルコールが消えると温度が下がり、燃焼で発生した水蒸気が凝結して水滴になり、内部の圧力は低下する。外側が1気圧なので、その力に押されてボールは離れなくなる。

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実験11のコップが落ちないのと同じ理由である。

マクデブルグの半球とは、17世紀のドイツでオットー・フォン・ゲーリックが行った大気圧の実験である。二つの金属球の間に濡らした動物の皮を入れてパッキンのようにして、真空ポンプで中の空気を抜いた。両側から馬に引かせ球を離そうとしたがなかなか離れず16頭で引くと二つの半球はようやく離れた。大気圧の存在と真空を証明した実験である。   参照 物理図録(数研出版)

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13. 温度計 トップへ

材料 ペットボトル ストロー 絵具(赤など) 湯 水
方法 1ペットボトルの蓋にストローが入る穴を開ける。開け方ははんだごてがあると便利である。ナイフで削り取っても良い。
2ストローを穴に通して空気が漏れないように隙間を埋める。方法は粘土や接着剤で固めると良い。
3絵具を溶かした水をペットボトルの半分ぐらい入れる。
4お湯をかけてみる。また、屋外に出して直射日光に当てる。
5手でペットボトルの空気の部分を押して見る。
結果 ストローの中を色水が上がっていくのを観察できる。
説明 湯で温めたり、直射日光に当てたりするとペットボトルの中の空気が温められ膨張する。空気圧が水面を押し、その圧力がストローの内部にもパスカルの原理で伝わるので水が押し上げられる。冷却するとストロー内の水位は下がる。直射日光に当てておくと、この変化が交互に起きることが観察できる。手でペットボトルを押した場合は空気が圧縮されるのでその圧力が水面にかかりストロー内の水位が上がる。

 

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14. マリオットのビン トップへ

材料 ペットボトル ストロー 水
方法 1ペットボトルの下の方にストローの太さぐらいの穴を開ける。
2ペットボトルの蓋にストローを通す穴を開け、ストローを通す。ストローの先端がペットボトルの下 の方になるように差し込む。蓋の隙間を接着剤などでふさぐ。
3 ペットボトルに水を入れて、水の出方を観察する。
結果 1 水位が下がっても水の出方に変化はない。
2 ストローの先から空気の泡が出ていくのが観察できる。

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説明
水が穴から出ていくとペットボトル内部の圧力が下がり、ストローが大気圧に押され
ストローの中に空気が入る。そうするとペットボトルの内部の気圧が上がり、大気圧と
同じぐらいになるので、その圧力で水が押されて流れ出す。ペットボトル内が同じ圧力に
保たれるので水の流出は同じ速さで継続する。
*ペットボトルに蓋をした場合と比較実験をしてみると良い。蓋をした場合は、水の流出
によってペットボトル内の圧力が下がり、水の出口を押す大気圧が相対的に大きくなる
ので水は流出できなくなる。
水の出方が同じ

 

15.減圧で沸騰 トップへ

材料 注射筒、高温の湯、消しゴム
方法 1注射筒に高温の湯を入れ、先端を消しゴムなどで押さえて空気が入らないようにする。
2注射筒を引く。
結果 減圧し沸点が下がり沸騰するのが観察できる。

説明 沸騰 液体の蒸気圧が外圧(通常は大気圧)と等しくなると、液体内部からも蒸発が起こり、液体中に気泡が生じる。この状態を沸騰という。この時の温度を沸点という。%e3%83%9b%e3%83%a0%e3%83%9a%e3%83%bc%e3%82%b8

16. 逆さコップから落ちない板 -大気圧と表面張力- トップへ

コップに水を入れガラス板、プラスチック板、段ボールなどで蓋をし、逆さまにすると下図のように板は落下しない。この現象は、上から板にかかる力を、大気圧と水の表面張力の合力が下から支えているからと説明されている。二つの力を別々に説明し、その合力で支えていることを説明する。

材料 プラスチックコップ 水 段ボール紙 プラスチック板 シャーレ
方法 Aは水で満たされ、Bは空気のみ、Cは水が半分入り、内部には空気が入っている。どれもコップの口には水がついている。
結果 どれも落ちない。

HP写真

1 表面張力を説明する実験

① 二枚のガラス板を水で接着する。

ガラス板が乾燥していると2枚を重ねてもくっつくことはなく、一方が落下する。しかし、間に水があると接着し落ちない。ガラス板にかかる上下の大気圧は等しいので、水の表面張力で2枚のガラス板が接着していると考えられる。

HP写真

②プラスチックの上部を切り取り、水をつけてプラスチック板と合わせると、板は落ちない。この場合も二枚のガラス板の接着と同じで、コップと板の間の水の薄膜に働く表面張力であると考えられる。

HP写真

以上のように水の薄膜は 表面張力により物質を接着する働きをする。

2 大気圧を説明する実験

目的 外側の大気圧により押されてコップの中の圧力が低下し、板が落ちないことを説明する。
方法  1 プラスチックコップの口の近くに小さな穴を開ける。

2 穴を指で押さえて水を入れ、上に板をのせる。

①机の上に逆さまにして置く。②手で持って逆さまにする。

結果 ①小さな穴から水は出ない。

②小さな穴に空気が入り(泡が見える)、板は落下する。

HP写真

説明

①小さな穴に働く水の表面張力が、外から空気が入るのを遮断すると考えられる。水の表面張力により、外側から押す力と内側から押す力が等しくなるためと考えられる。

②持ち上げると空気が入るのは、大気がコップを押す力が、コップの内部から外向きに押す力よりも大きいことを示す。なぜ内部の力が低下するのか。コップを持ち上げた時、机からの垂直抗力が無くなり、板に水の重力がかかるため板が少し下がり、コップ内部の体積は増加する。密閉状態で体積が増加すれば、容器内の圧力は低下する。そのためコップを外から押す力の方が大きくなり、空気が入ってくる。コップに空気が入ると、その空気圧が水面を押し、その力が板に伝わる。この力と水の重力の合力が板に働き、大気圧が下から押し上げる力と表面張力の合力を上回り、板は落下する。

HP写真

3 体積が増大すると減圧すること示す実験

減圧で沸騰(テーマ15)のように注射筒に高温水を入れ密封し、ピストンを引くと水中から空気の泡が生じる。これはピストンを引き、注射筒内部の体積が増加すると内部の圧力が低下し沸騰することを示す。この時ピストンを引く手を緩めると、大気圧により押されてピストンは戻り気泡は消える。この現象と同様に、コップを持ち上げた時、板にかかる水の重力のため板は少し下がり、内部の体積が増加する。そのためコップ内部の圧力は低下する。

HP写真

まとめ

逆さコップの実験では、コップを逆さにすると、水の重力により板が少し下がり、コップ内部は減圧する。コップには、下から大気が押す力と水の薄膜による表面張力の合力が働き、下図のように下向きに働く力とつり合い、板は落下しない。

HP写真

17. 燃焼後の水面上昇 ―酸素消費による空気の体積減少?―トップへ

ねらい

ガラス製の容器を上下逆にして、下の開口部から水が浸入できるようにし、コップ内でロウソクを燃焼させると、燃焼後水位が上昇する現象が見られる。この現象の理由を以前は、水位の上昇が約1/5なのでコップの中の酸素が消費されて、コップ内の気圧が減少し周囲の大気圧に押されて水が浸入し水位がコップの体積の約1/5だけ上昇すると説明されていた。この現象を通して空気中の酸素の割合が1/5であることを説明する教科書もあった。この間違いをコップ内の空気の減少率が約1/5を示さない事例を紹介し、容器の体積が減少する理由を考える。

材料 ビーカー ガラス製コップ ガラス製の円筒 ペットボトルなど内部が見え

るもの ロウソク大小 メスシリンダー 背の低い水槽 粘土 水 マッチ

セロテープ

方法 1 ガラス製容器の体積を、水を入れてメスシリンダーで事前に求めておく。

2 水槽に約2cm位の深さに水を入れる。

3 中央にロウソクを立てる粘土を置く。

4 ロウソクに火をつけガラス製容器をかぶせる。

5 水位の上昇を観察する。

6 上昇が停止したら容器の外側に水位の位置を記すためにテープを貼る。

7 水位の上昇位置まで水を入れ、メスシリンダーに移して体積を求める。

8 1から7を引いて上昇した水の体積を求める。

9 空気の体積減少率を(9/1)×100より求める。

10 ロウソクの大きさを代えて同じ実験を行う。

体積減少率の計算ではロウソクと粘土の体積は無視することにする。

結果  実験例を図1に結果を図2に示す。各実験のロウソクの本数を1本よりも2本、小さいロウソクよりも大きいロウソクの方が空気の体積減少率が大きくなった。約1/5の体積減少率を示したのは全実験14例中3例だけで、最も体積減少率が大きくなったのは41%であった。この大きな体積減少率は容器内の酸素がすべて消費されたとしても理由の説明ができない。なぜ、1/5以上もの大きな体積減少率を示したのか。

HP写真

考察

1 消費酸素量と発生二酸化炭素量及び燃焼限界酸素量との関係

ロウソクの主成分はパラフィンC2n+2とステアリンC1735COHであり、近似式はC2nで表す。燃焼の化学反応式は

2C2n+3nO→2nCO+2nH

消費される酸素と発生する二酸化炭素の体積比は3:2なので、酸素がすべて消費されたとしても酸素の2/3に相当する二酸化炭素が生成される。水蒸気は燃焼後微小な水滴に変わる。この変化は容器の表面に水滴が付着することからわかる。このことから容器内の空気の体積減少率は、酸素の全てが消費されたとしても

(1/5)×(1/3)=1/15と計算できる。

燃焼が継続されるためには一定の酸素の供給が必要であり、ロウソクの場合は酸素の必要量は空気の体積率の約15%(燃焼限界酸素量)と示されている。空気中の酸素の21%すべてが消費されるのではなく、消費量はその1/4になる。結局、酸素の体積減少率は

(1/5)×(1/3)×(1/4)=1/60と計算できる。

2 燃焼による容器内の変化

ロウソクの燃焼により容器内は加熱され空気は膨張する。図のように円筒ガラス容器の底から空気が漏出して泡の放出が見える場合がある。これは空気の膨張により容器内の空気が外部に排出されたことを示す。温度上昇により水面から水蒸気が供給され、消炎後、飽和蒸気圧に達し微小な水滴になり、空気の体積は収縮し容器内の圧力は低下する。外部の大気圧よりも容器内の圧力が小さくなり、外部からの大気圧により押されて水が容器内部に侵入してくると考えられる。ロウソクの本数が1本よりも2本、小さなロウソクよりも大きなロウソクの方が容器内の温度上昇が大きく、空気の体積膨張も大きく、消炎後の収縮も大きくなり、外部との圧力差が大きくなる。その結果、容器内部に侵入する水の量が多くなり、水位の上昇が大きくなったと考えられる。体積減少率が約1/5を示す場合もあるがそれはたまたまそうなっただけのことであり、その結果は空気中の酸素の含有率が約20%を示すものではない。容器を密閉し、空気の漏出を防止した実験では、燃焼後の容器内の圧力低下は約1/100と小さい結果が報告されている。

HP写真

結論 実験結果は燃焼条件を変えると体積減少率が1/5以下、1/5以上になった。この事実から燃焼による酸素だけで空気の体積減少率を説明するのは間違いであり、容器内の空気の体積減少は、酸素の消費による容器内部の圧力低下だけではなく、空気の漏出により圧力が低下し、外部の大気圧により水が押されて内部に侵入し上昇する現象であると説明できる。

引用文献

理科実験の盲点研究 埼玉大学名誉教授 金山廣吉 著 東洋館出版社 2000年5月初版

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