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金属の酸化還元反応

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目次

1.金属のイオン化傾向
2.化学電池
3. 電気分解
(1)食塩水の電気分解
(2)水酸化ナトリウム水溶液の電気分解
(3) 塩酸の電気分解
(4)硫酸銅水溶液の電気分解
(5)酸化銅の還元


1 金属のイオン化傾向 トップへ

はじめに 

金属にはイオンになりやすいものとなりにくいものがある。イオンになりやすいものから順に並べたものをイオン化列という。周期表の1族、2族の金属はイオンになりやすく、貴金属といわれるAg、Pt、Auはイオンになりにくい。金が輝きを失わないのはイオン化傾向が最も小さく、他の物質と反応しにくいからである。金属の単体が金属イオンになる反応は、金属が酸化される酸化反応であり、水溶液中で電子を放出し陽イオンになる。陽イオンになる金属の性質をイオン化傾向という。

イオン化傾向

Li K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb( H2) Cu Hg Ag Pt Au
ねらい 金属イオンを含む水溶液と金属の反応からイオン化傾向の違いを理解する。
材料 硝酸銀水溶液 硫酸銅水溶液 Fe(釘)Cu  Zn
方法 1 3本の試験管に硝酸銀水溶液を少量いれ、2本の試験管に硫酸銅水溶液を少量入れる。

2 図のように硝酸銀水溶液に釘(Fe)、Cu、Znを入れ、硫酸銅水溶液に釘(Fe)、Znを入れる。変化の様子を観察する。

結果  

銅と硝酸銀溶液の反応

Cu + 2AgNO3 → 2Ag + Cu(NO3)2   イオン化傾向 Cu > Ag

酸化 Cu→ Cu2+ + 2e-
還元 2Ag+ + 2e- → 2Ag
合わせて Cu + 2Ag+ → Cu2+ + 2Ag

亜鉛と硫酸銅溶液の反応

Zn + CuSO4 → Cu + ZnSO4    イオン化傾向  Zn>Cu

酸化 Zn → Zn2+ + 2e-
還元 Cu2+ + 2e- → Cu
合わせて Zn + Cu2+ → Zn2+ + Cu

鉄と硫酸銅溶液の反応

Fe + CuSO4 → Cu + FeSO4    イオン化傾向  Fe>Cu

酸化 Fe → Fe2+ + 2e-
還元 Cu2+ + 2e- → Cu
合わせて Fe + Cu2+  → Fe2+ + Cu

亜鉛と硝酸銀溶液の反応

Zn + 2AgNO3 → 2Ag + Zn(NO3 )2     イオン化傾向  Zn>Ag

酸化 Zn → Zn2+ + 2e-
還元 2Ag+ + 2e- → 2Ag
合わせて Zn + 2Ag+ → Zn2+ + 2Ag

まとめ イオン化傾向   Zn>Cu > Ag

以上のように2種類の金属が出あった時、イオン化になる(溶ける)金属の方がイオン化傾向が大きいことが分かる。このようにして金属のイオン化列ができたのである。イオン化傾向の大きい金属は室温で水と激しく反応し、イオン化傾向が小さくなるほど酸との反応も弱くなり、最もイオン化傾向が小さい金属が金である。


2 化学電池 トップへ

アルミ板と銅板でつくる電池

ねらい 2種類のイオン化傾向の違う金属板を電解質に入れ電池ができることを知り、電池は金属のイオン化傾向の性質を利用したものであることを理解する。
材料 アルミニウム板(1円硬貨)、銅板(10円硬貨)、はさみ(金属板が切断できるもの)、

電子オルゴール、食塩水、ろ紙 (アルミ板の代わりにアルミ箔でも良い)

方法 1 アルミニウム板と銅板を大きさ2cm程度に切る。

2 ろ紙も同じぐらいの大きさに切り、濃い食塩水に浸す。

3 以下の順序で銅板とろ紙とアルミ板を重ねる。/はろ紙である。

4 電子オルゴールの赤い導線を銅板、黒い導線をアルミニウム板に接続する。

銅板/アルミニウム板→銅板/アルミニウム板/アルミニウム板→銅板/アルミニウム板→

銅/アルミニウム板→銅板/アルミニウム板

枚数は必ずしも6枚でなくて良い。

*注意点:銅板とアルミ板の間にはろ紙を挟んではいない。銅板・ろ紙・アルミニウム板の組み合わせで一つの電池の仕組みになっている。ろ紙が接しないようにする。

結果 電子オルゴールがメロディーを奏でる。導線が逆の接続だと音はでない。

説明 金属のイオン化傾向 大きい方から順に

大 Li K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb( H2)  Cu  Hg  Ag Pt Au 小

Al>CuなのでAlはAl3+になり、電子を放出する。電子は導線を通りCu板に移動する。Al

板は電子を放出するので負極、Cu板は電子が流入するので正極になるので、Al板には黒の導線(-)

を、Cu板には赤の導線(+)を接続する。

負極: Al → Al3+ + 3e
正極: 2H⁺ +2e- → H₂

電子がAl板から電子オルゴール(抵抗)を通り、Cu板では水素イオンが電子を受け取り水素ガスにな

る。電流が弱いため豆電球は点灯しない。

*1円と10円硬貨を用いる場合は、10円硬貨を磨いておいた方が良い。ボルタは(1800年)、Zn板とCu

板の間に電解液をしみ込ませた布をはさみ、これを1セットとし、幾段にも重ねてボルタ電堆を発明し

た。しかし、分極が起こり強い電流を流すことはできなかった。

1円硬貨は食塩水では溶けにくいので1円硬貨から放出される電子が少ないので、希塩酸などの酸に浸した方が良いので、家庭では酢を使って実験すると良い。


3 電気分解 トップへ

電気分解の原理:電解質の水溶液に電極を入れ、直流電流を流すと、酸化還元反応

が起きる。このような操作を電気分解という。電極には白金や炭素棒が用いられる。

陰極:外部電極の負極に接続した電極 陽極:外部電極の正極に接続した電極

酸化と還元は同時に起こる。

酸化 還元
酸素と化合する。水素を失う。電子を失う。金属の単体が陽イオンになる変化。陰イオンが単体になる変化。 :酸素を失う。水素と化合する。電子を得る。陽イオンが単体になる変化。非金属の単体が陰イオンになる変化。
陰極:電子が与えられ還元反応が起こる。還元されやすい物質が反応する。
陽極:電子が奪われ酸化反応が起こる。酸化されやすい物質が反応する。

反応の例(電極が白金、炭素棒で電極自身は変化しない場合)

陽極

水より酸化されにくいイオン SO42- NO3  CO3 などの場合

水の酸化 2H2O → O2 + 4H+ + 4e-

水溶液が塩基の場合 4OH- → O2 + 2H2O + 4e-
水の酸化より起こりやすい反応の場合 2Cl- → Cl2 + 2e-  2I- → I2 + 2e-

(電極がCuの場合 Cu → Cu2+ + 2e-)

陰極

水より還元されにくいイオン K+  Ca+  Na+  Al3+ などの場合

水の還元 2H2O + 2e- → H2 + 2OH

水溶液が酸性の場合 2H+ + 2e- → H2
水の還元より起こりやすい反応の場合 Cu2+ + 2e- → Cu


 (1)食塩水の電気分解トップへ

シャーレを用いた簡便な方法と舟形容器を用いた場合を紹介する。

シャーレによる簡便な方法

材料 アルミ箔、炭素棒 シャープペンシルの芯 シャーレ 飽和食塩水、硫酸銅

溶液、乾電池(単一3個) リトマス紙(赤色)

方法 1 シャーレに飽和食塩水を適量入れる。
2 電極にするアルミ箔は12cmほどの長さで、2~3回折りたたんで電極にする。
3 シャーレにフェノールフタレイン溶液を1~2滴入れ、アルミ箔を乾電池に接続し、アルミ箔の先端が浸るようにシャーレに入れる。二本のアルミ箔が触れないように注意する。
4 しばらく様子を観察する。赤色リトマス紙を陰極に付ける。

結果

陽極側から泡が発生し、陰極側が赤色に変化する。

陰極 2H2O + 2e- → H2 + 2OH-  水素ガスの発生 還元
陽極 2Cl- → Cl2 + 2e-  塩素ガスの発生     酸化

ペットボトルやビーカーを用いる簡便な方法

材料 アルミ板 アルミ箔(導線として使う) ビーカーやペットボトル 後は同じ
方法 1 アルミ板を細長く切り電極とし、アルミ箔を細長く切り導線として接続する。
2 ビーカーに食塩水を入れ、電極を入れて試験管を被せ発生する気体を捕集する。
3 後の方法は水酸化ナトリウム溶液の電気分解と同じである。

結果 陰極側で捕集する水素の確認、塩基性水溶液の確認は同様である。塩素ガスが捕集できればその臭いで確認できるのでできるだけ捕集を続けるとよい。水素ガスと塩素ガスの体積比は理論上は1:1であるが陽極の塩素ガスの発生が少ない。

陰極 リトマス紙 赤が青に変化


(2)水酸化ナトリウム水溶液の電気分解 トップへ

材料 電極 炭素棒 導線 試験管(2本)コルク栓またはゴム栓 線香 ペットボトル(500mL) 乾電池 水酸化ナトリウム水溶液(濃度は水500mLに対して水酸化ナトリウムを10g溶かす)手袋(水酸化ナトリウム水溶液は劇薬なので必ず使用する)マッチ
方法 1 ペットボトルを図のように船型に切り取り、底に炭素棒が通るような穴を開け る。

2 炭素棒を差し込み 接着剤で溶液が漏れないようにする。テープで留めた後接着剤で埋めるとよい。

3 試験管は発生する気体の体積を比較できるように目印を付けておくとよい。

4 導線を炭素棒に接続し、水酸化ナトリウム水溶液を炭素棒が隠れるまで入れる。

5 試験管に水酸化ナトリウム水容器を満たし、紙をのせて漏れないようにして炭素棒に被せる。紙は水 の表面張力で張り付いたままなので逆さまにしてもこぼれない。

6 乾電池を接続し電気分解を始める。乾電池の数は適宜決めればよい。

7 試験官を取り出す際には、水溶液の中で栓をして気体が漏れないようにする。

8 陰極側の気体にマッチの火を近づける。その後、赤色リトマス紙を入れ、フェノールフタレイン溶液 を滴下する。

9 陽極側の気体には線香の火を入れる。

結果

陰極 水素が発生し、マッチの火が試験管に吸い込まれ、音を立てて燃える。これは水素の燃焼である。

陰極 2H2O + 2e- → H2 + 2OH
燃焼 2H2 + O2 → 2H2O

赤色リトマス紙は青色に変化し、フェノールフタレイン水溶液を滴下すると赤くなり塩基性を示す。水酸化物イオンの生成を示す。

陽極 線香の火が明るくなる。これは酸素の発生である。

陽極 4OH- → O2 + 2H2O + 4e-

*容器の中を電子、イオンが自由に動く必要があり、試験管を電極に被せると動きを阻害するようになり、気体の発生が遅くなる。試験管を少し持ち上げると良い。

*理論では水素と酸素が2:1の割合で発生するが実際には酸素の発生は少ないので、水素を取り出した後も電気分解を続けて酸素の捕集を行うとよい。


(3) 塩酸の電気分解 トップへ

材料 塩酸(5%)炭素棒 他は同じ
方法 上記の船形容器を用いる方法と同じ

結果 陰極に水素が発生し、陽極に塩素が発生する。

2HCl → H2 + Cl2

陰極 2H+ +2e- → H₂
陽極 2Cl- → Cl2 + 2e-

陰極 水素の確認方法 水素ガスの燃焼

陽極 塩素の確認訃報 塩素ガスの臭気がし、青色リトマス紙が白くなる(塩素の漂泊作用


(4)硫酸銅水溶液の電気分解 トップへ

材料 硫酸銅 炭素棒 導線 乾電池
方法 1 シャーレに硫酸銅溶液を入れる。電極の炭素棒を乾電池2個に接続する。シャー

プペンシルの芯があればそれを使用する。

2 電極が触れないように注意し、硫酸銅水溶液の中に電極を浸し様子を観察

する。3分程度で良い。

3 その後、電極を逆に接続して変化を観察する。

結果

硫酸銅水溶液 CuSO4 → Cu2+ + SO42-

陰極 Cu2+ + 2e- → Cu
陽極 2H2O → O2 + 4H+ + 4e-

陰極では流れ込む電子と銅イオンが反応し銅が析出する。

陽極ではSO42-は水より酸化されにくい陰イオンなので、水が酸化され酸素が発生する。

陰極にが付着し、陽極からは酸素の泡が発生する。

電極の接続を陰極、陽極逆にする

*注意 陰極には表面に銅が析出していたので、陰極の電極は銅メッキされていたことになり、陰極は

銅棒、陽極は炭素棒になっていることに注意する。

そのため陰極では電極に付着していた銅が溶けだし、銅イオンに変化する。陰極で

は銅が析出する。電極の反応は電解精錬と同じとなる。

陽極 (元陰極) Cu → Cu2+ + 2e-
陰極 (元陽極) Cu2+ + 2e- → Cu


(5)酸化銅の還元 トップへ

材料 酸化銅粉末(1.3g)、炭粉末(0.1g)、試験管、石灰水、試験管立て、試験管ば

さみ、ブンゼンバーナー、ろ紙、薬さじ

方法 1 酸化銅の粉末を1.3g、炭の粉末を0.1g取り、よく混合する。

2 試験管に混合粉末を入れる。石灰水を約3.0ml入れた試験管を試験管立て

に図のように斜めに立てる。

3 試験管を斜めにして、石灰水の入った試験管の口に図のように当て約10分加熱する。

4 時々、石灰水の入った試験管を振り色の変化を観察する。

5 約10分後試験管の加熱を止め、ろ紙に混合物を移す。

6 薬さじで混合物を広げるように擦る。

結果 1 石灰水の色は始めに白濁し、その後再び透明になる。

2 混合物が赤茶色に変化していることが観察できる。

説明 酸化銅と炭素の酸化還元反応

 2CuO + C → 2Cu + CO2

1 試験管を斜めにするのは、炭の粉末から水蒸気が出て、試験管が割れるのを防ぐためである。水蒸気

は炭の粉末に含まれていたもので、化学反応で出てきたのではない。

2薬さじで擦って現れた赤褐色の物質がCuであり、酸化銅が炭素により還元されて銅に化学変化したこ

とを示す。このとき炭素は酸化銅により酸化されて二酸化炭素に化学変化する。

3石灰水を入れた試験管は、始め白濁し、その後再び透明になる。この変化は

CO2 + Ca(OH)2 → CaCO3 + H2O

CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2

* 透明に変化した炭酸水素カルシウム水溶液の試験管を加熱すると、再び白濁する。これは加熱により、二酸化炭素が放出されて、逆向きの化学変化が起きるためである。

 

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