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ボランティア活動ー科学セミナー

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目次
ボランティア活動の基本的な流れ
1 第1回科学セミナー
2 第2回科学セミナー
3 第3回科学セミナー
4 第4回科学セミナー
5 第5回科学セミナー
6 第6回科学セミナー
7 第7回科学セミナー
8 第8回科学セミナー
9 第9回科学セミナー

科学セミナー -実験講習会― 

小学校の先生方対象に科学セミナー(実験講習会)をJOCV(海外青年協力隊)とシニアボランティア(SV)が協働で行うことにした。JICA事務所はJOCVとSVが共同で支援活動を行う方法をグループ型支援と呼び勧めている。これはボランティアが単独で活動するよりも、協力して行う方が支援効果を大きくすることが期待できるからである。アセラには私(SV)とJOCVが派遣されたので、小学校の先生方対象にグループ型で実験講習会を実施することを活動計画の始めから入れることにした。

教育事務所訪問

教育事務所は、日本の都道府県の教育委員会の出先機関に当たる地方の行政機関である。教育事務所が管轄地域の教育活動をとりまとめている。赴任当初の挨拶回りにはJICA事務所の企画調整員が同行してくれ、これから活動に入ることを教育事務所所長に説明してくれ、私たちボランティアの活動内容を理解してくれた。最初の挨拶の時に、理解が得られて活動がスタートしやすくなった。また、この時、警察所にも挨拶に行き、今後の緊急時の連絡先、さらに、もしもの時にすぐに使える専用のバジャジ(タクシー代わり)を紹介してくれた。これはその後、大きな荷物を運搬する時、電話をすれば迎えに来てくれるタクシー代わりになり、大変助かることになった。警察署長の特別な計らいに感謝した。

活動開始にあたって

エチオピアではボランティアの活動を認知してもらうためには、行政(役所)の承認を得ることが重要である。そためには科学セミナー開催の申請書と承認書を作成し、これに公印をもらうことがまず最初の段階で重要である。エチオピアでは公印のないものは紙屑同然である。公印こそが行政が認めた文書で、日本でよく使う認印は全く意味を持たない。

文書の様式は任意で、実施日、場所、対象、目的、内容を記載し、ボランティアが申請書と承認書を作成し、公印を押してもらう。教育事務所の担当者(責任者)は快く対応し承認してくれた。この日の話し合いで、講習会休憩中のシャイサービス(お茶サービス)が話題にあがった。エチオピアでは行事を行う時に、休憩時間にお茶をサービスする習慣があり、シャイサービスのない行事はないという。シャイサービスがないと参加しない者もいるという。教育事務所に費用をお願いしたができないという。ボランティア活動には業務活動費の支給はないので、ボランティア自身で負担するほかはない。金額はボランティアの負担になるほどの額ではないので私たちが負担することにした。アセラには7つの公立小学校があり、3つの地区(3校、2校、2校)に分かれているので、一地区ごとに実施することにした。次年度からは私立校も対象にした。最初の対象校は近隣の三校とした。第一回目開催の申請に先立ち、教育事務所に科学セミナー開催の予定の話をしておいたので、教育担当の責任者が科学セミナーの1週間前に対象校の先生方に科学セミナー開催の案内をしてくれていた。有難いことであった。私たちは4日前に科学セミナー実施書を持って、3校を訪問し、校長や理科教員にセミナー開催の説明をし、理科教員の参加に理解を得た。私たちは、最初から高望みせず、周到な計画というよりは、細かいことは気にせず、まずはできることから始めようという方針で取り組むことにした。ボランティア側とエチオピアの行政側の双方が詳細な点まで同意できるまで待っていたら時間ばかりが過ぎていくと判断したからである。滑り出しは良かった。でも後でエチオピアならではの問題が明らかになるとは予想できなかった。2年間の滞在中9回の科学セミナーを実施したのでその内容を述べる。

第1回科学セミナートップへ

準備 実験器具や試薬はSV配属のアセラ教員養成大学から提供してもらい、会場はJOCV配属先のアセラ小学校で行った。エチオピアは午前午後の二部制なので、両方の先生方が参加可能なのは休日しかないので土曜日に実施することにした。

実施 2014年2月22日(土)午前中 アセラ小学校 参加数 19名

実験内容

物理 密度の測定、摩擦力(定量実験)
化学  Na金属の水との反応、ヨウ素デンプン反応
生物  タマネギの皮の抽出液を用いた指示薬、肺と腕の模型

(1)先生方の実験技術と理解

先生方は実験器具のメスシリンダー、バネばかりの使い方を知らなかった。アセラ大学の学生の技術レベルは分かってはいたが、先生方が同じレベルであることに驚いた。理論は分かっているはずなので、簡単な説明の後、実験を開始したが、それが間違いであった。先生方はなかなか手が動かない。メスシリンダーが読めず、バネばかりの一目盛りが読めない。単位の基本が分かっておらず、kgとcm3を混同して計算したり、アルキメデスの原理が理解されておらず、浮力が物体の体積になることが分かっていない者もいた。摩擦力の実験ではバネばかりで木片を引くことができない、バネばかりを机に直接置いたまま引く。物体の質量を重くすると垂直抗力が大きくなり、摩擦力は大きくなるのだが、逆に摩擦力が小さくなっていても結果に疑問を持たない。重量(質量)をニュートンの単位に換算できない、など生徒を指導するようにていねいに説明しなければならないことが初めてのセミナーでよくわかった。

(2)定量実験と定性実験

密度と摩擦力は定量実験で、タマネギの皮の抽出液の酸、塩基との反応、Na金属の水との反応は定性実験である。教師でも定量実験が苦手であることがわかった。定性実験は五感で感じ、理解しやすい。タマネギの皮の抽出液は酸で赤色、塩基で黄色に変わり分かりやすく、Na金属の水との反応は、燃焼により音がでて、フェノールフタレイン溶液で赤色に変わり、変化が見て分かるので理解しやすく、先生方に好評であった。ヨウ素デンプン反応はうがい薬を使えば身近な材料で可能である。今後は定性実験を重視した方がよいことが理解できた。終了後のアンケートでは科学セミナーを今後も継続して欲しいという要望が多く、科学セミナーの重要性が再認識できた。

(3)ラボテクのボランティア参加

アセラ教員養成大学のラボテクがボランティアで参加してくれ、実験データのまとめ方、結果から見いだせる問題点、先生方の弱点、実験のポイントなど分かりやすい英語で解説してくれた。ラボテクの指導がセミナーのまとめをする上で大きな助けになった。もし、ラボテクの参加がなければ中途半端な実験講座になっていたかもしれない。ラボテクにはボランティア参加なので日当は出していない。しかし、その後、エチオピアではボランティアで研修講座に参加することはないことがわかった。日当は講師だけではなく、参加者にも支払うことが暗黙の約束になっていたのである。大学の生物のラボテクにもセミナーの話をしていたが、日当のあるなしを聞かれたことの意味がわかった。分かりやすく言えば、日銭なしには研修会には参加しないということである。また、参加者も日当を要求する者がいることが後の科学セミナーでわかった。

(4) 課題

エチオピアの小学校では先生が、日本の高校のように物理、化学、生物の専門に分かれており、専門科目以外は不得手であることがわかった。共通のテーマで研修するのではなく、専門科目に分かれて実施して欲しいという要望が後のセミナーで出されるようになった。義務教育なので共通に行った方がよいと考えていたがそれは間違いであることが後でわかった。

小学校には、実験器具、試薬が全くと言っていいほど整備、用意されていない。科学セミナーではアセラ教員養成大学から借用して行うことができたが、先生方が学校で演示実験、生徒実験をするためには、学校に実験器具、試薬を用意していかなければならない。これがエチオピアの最も大きな課題である。学校の予算をどのように使っているのか。教員や校長は予算を使うことをどのように考えているのか。教育事務所は学校に必要な物品がないことをどのように考えているのか。エチオピアの理科教育を充実するためには何が重要なのか、解決しなければならない問題が見えてきた。先生方からの要望もあり、このセミナーをきっかけにして、小学校から要望があれば、試薬の提供をボランティアが仲介し、アセラ教員養成大学から試薬提供の理解が得られるようになった。今後も科学セミナーは教育事務所、アセラ教員養成大学、ボランティア、小学校の理解と協力を得て行うことが重要である。科学セミナーの実施報告書をまとめて、教育事務所、アセラ教員養成大学、各小学校に提出して最初の科学セミナーを終了した。もちろんJICA事務所には、科学セミナー実施の計画書から報告書まで提出し、ボランティアの活動状況が分かるようにした。

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前日の準備(2014.3.21)

事前にJOCVが会場校の小学校の校長に連絡をとり、科学セミナーを行う理科室、机の数の確認をしておいてくれるはずであった。しかし、理科室とは名ばかりで、準備は何もされてはおらず汚れたままであった。必要な机の大きさ、数を確認すると他の教室の方が良いことになり、他の教室に移動すると、さらに汚く紙屑などのゴミが床全体に散乱し、これまで見た教室の中で最も汚れた状態であった。実験机は生徒用の長椅子を背中合わせにして代用することで決まり、掃除をしなければならなかった。まもなく、生徒4人が来て一生懸命床の掃き掃除をしてくれた。熱心な働きぶりに私たちは感心した。エチオピアでこれほど丁寧に掃除をしている場面を見たことがなかったほどである。ゴミをどう片づけるか見ていると、案の定、教室から外へ掃き出すだけであった。予想通りのエチオピア流の掃除でもう驚くことはなかった。でも、予想していないことが待っていた。生徒たちが掃除への報酬を要求してきたのである。5Birr欲しいと、しつこく言ってくる。体を洗うために石鹸を買いたいというのである。私たちはお金を出すことはしない。明日の科学セミナーの準備のための掃除に対して、お金を払う必要はないと考えたからである。どうやらこれは日本流の考えのようであった。エチオピアの先生方も周りにいるが、何も言わず見ているだけである。校長は「生徒は掃除をしたんだから」といい、暗にお金を与えてやって欲しいと言いたそうであった。それでも、私たちは払わなかった。それでいいと思う。私ひとりであったら妥協して手伝ってくれた生徒たちに小遣いを渡していたかもしれない。JOCVの毅然とした態度に感謝した。JOCVは芯が強く、頼りになる同僚である。実験教材を安全管理のために校長室で保管してもらい、明日午前8時30分に学校に来て、校長室を開けてもらうことを約束してこの日の準備を終えた。

ボランティアが活動をする時、「現地の人々の目線に立って」とよく言われるが、どんな場合も現地流に合わせてやることが良いことではない。日本流の考えを押し通す必要がある場合もある。違う見方、考え方を示すことができるのはボランティアなどの外国人である。長い目で見た時に、その方が任国、任地の人たちのためになるからである。このことは、ボランティア活動を通して度々経験することになった。おそらく、どのボランティアも経験していることにちがいない。

科学セミナー当日

予定通り、午前8時30分に学校に着き、校長が来るのを待っていたがなかなか来ない。校長室を開けてもらわないと実験教材を出して準備ができないから困った。セミナー参加者も集まりだしたが、校長は来ない。すでに来ているこの学校のセミナー参加者に聞いてみると校長は9時にならないと来ないという。校長は9時3分姿を現した。エクスキューズと言い、私が待っていたというと少し悪かったという様子であった。早速準備にかかり、予定より少し遅れたがセミナーは問題なくスタートした。この日のシャイサービス(お茶とお菓子のサービス)は校長の計らいで校長が出してくれた。さらに、今回から、教育事務所がアセラにある刑務所の院内学級にもセミナーの案内をしてくれ、2名の理科の教員が参加してくれた。これにも感謝したい。

実施 2014年3月22日(土) リマット小学校 参加者 16名

1 実験内容

燃焼による質量変化(段ボールの燃焼とMgの燃焼)Naの水との反応 (化学)

糖の分解と確認(生物) 回転モーター(物理)

燃焼による質量変化(段ボールの燃焼とMgの燃焼)糖の分解と確認 Naの水との反応 回転モーター

2 前回からの改善点

定量実験ではなく定性実験を行った。サイエンスショーではなく、参加者自身が実施し、生徒に学校で指導できる実験を選んだ。また、実験室がない学校もあり、あっても実験室として使用できないので普通教室、机と椅子だけの環境でもできる実験を選んだ。

3 先生方の実験技術と理解

(1) 燃焼(化学変化)による質量の変化

①天秤の製作:ペットボトルと定規、小さな容器、釘、糸などで天秤を作った。天秤がない小学校で使える簡易天秤が完成した。

②実験結果の予想:段ボールを燃やして燃焼前と燃焼後の重さの変化を質問すると、質量が変化しないが5名、減少するが3名であった。質量保存の法則は先生方はよく理解しているので、燃焼後も変化しないという回答が多くなったと思われる。質問は製作した天秤で重さを測るとどう変化するかということであったが、水蒸気と二酸化炭素になり蒸発し、残りは灰であるということを実験前に考えたか疑問に思った。参加者は実験後はそのことをよく理解した。Mgの燃焼実験は、酸化マグネシウムMgOに化学変化するので質量は増加する。簡易天秤でこの結果がでるかどうか、心配もあったが、燃焼後白く灰のようになったMgOの方が少し下がった時、先生方は驚き納得できたようだった。参加者にとって初めての実験であり、視覚で確認できたことは有意義であった。

(2) 盲斑の確認

日本では良く行われる簡単な実習である。手作りの盲斑確認カードの使い方を説明、演示し実施した。盲斑確認カードをゆっくり自分の眼から遠ざければ、誰でも簡単に盲斑の確認ができる。若い先生方はすぐに自分の盲斑が確認できたが、年配の先生は何度演示しカードをゆっくり遠ざけることを説明しても、同じようにやろうとはせず、カードを早く離して結局できずに終わった。なぜ同じようにやろうとしないのか理由がよくわからなかった。

(3) デンプンのアミラーゼによる分解と糖の生成の確認実験

デンプンの分解はお米、うがい薬、唾液があれば簡単にできるのでエチオピアで普及できる実験である。糖の確認のために、アセラ教員養成大学からベネジェクト液が借用できた。この実験は加熱が必要なので手作りの簡易アルコールランプを用意した。簡易アルコールランプはボランティアには良く知られており、簡単に製作できる。ガラスの小瓶の蓋に穴を開け、糸の束を通すだけである。危険防止のための注意は、アルコールが揮発しガラス瓶が破裂しても、ガラス片が飛び散らないようにしなければならない。そのためにはガラス瓶の周囲にテープを撒いておけばよい。ガラスビンは不安定なので、転倒防止のために木枠などで囲っておくなどの準備も必要である。この実験は反応を色で確認できるので失敗することがなく、普及させたい実験である。課題はベネジェクト溶液を用意できるかどうかである。そのためには、小学校と大学との連携が欠かせない。

(4) 回転モーター

日本では中学で必ず実施する定番の実験である。乾電池と磁石、銅線があれば簡単に組み立てができ、回転するので興味がもてる実験である。予想した通り先生方は興味を持った。教師はなぜコイルが回転するのか理解して生徒に説明できなければならない。日本であれば、フレミングの左手の法則で説明する。図示し説明したが理解が出来たかどうかはよくわからなかった。理由は、エチオピアではフレミングの左手の法則が教科書に記載されていなく、右手の法則で説明しているからである。日本人には理解しにくい。日本では右手の法則は電流と磁界の関係を説明するときに使われ、回転モーターの説明に右手の法則は使わない。図に示すようにエチオピアでは手の平から甲に抜ける方向が電流の向きになるのである。左手も右手も法則でなく、約束事にすぎないのでどちらでも良いのだが、エチオピアの教科書には図による説明がなく、先生方にも分かりにくいことがわかった。生徒の質問に先生が答えに困っていることもあった。参加者には学校で回転モーターが自作できるように銅線、クリップ、木の台を配布した。

5 課題

今回は定性実験なので参加者が取り組みやすく、失敗のない実験で良かった。前回同様、アセラ教員養成大学からの試薬の提供があり実施できた点は、SVが大学に派遣されているためであり、もし、大学への派遣がなければ実験器具、試薬などの提供ができないにちがいない。ボランティア帰国後、もしこの科学セミナーを継続するとすれば、大学からの提供が可能になるシステムづくりをしておかなければならない。これまでこのような科学セミナーが行われていたことはなく、大学が地元の小学校を支援する仕組みはないと思われる。大学が主体になって積極的に小学校に実験器具などを提供し、大学の実験室を利用して、実験講座を開催していくことが教員養成大学の使命と思われるが、そのような動きは見られない。教育事務所が積極的に取り組む様子も見られない。日本では各県、教員の理科教育研究協議会という自主組織があり、教育委員会が応援し研修の場としている。エチオピアには日本のような教員研修の仕組みはないようだ。教育局が主催する実験講座は時々開催されているが、予算は海外からの支援(多国籍支援、二国間支援など)でトップダウンで行われる研修会である。現場の教師が自主的に組織し、実験講習会を開催することも必要と考えられるが、これは日本的な発想で、現在のエチオピアでは実現は難しいようだ。

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実施 2014年4月26日(土) ドウシャ小学校 参加者 11名

三校に分けて実施する最終回

内容 化学  燃焼による質量の変化 Na金属の水との反応

物理  静電気 電磁石 回転モーター

生物  アミラーゼの働き 肺と腕の筋肉の構造

改善点

(1) 理論の理解と模擬授業

実験は理論を理解していないと意味がない。特に教師は生徒に結果の理由を分かりやすく説明できなければならない。エチオピアは暗記重視なので、教師自身も暗記に頼るところがあるので、模擬授業のように教師の理解を確認しながら行った。

①ダンボール燃焼後の質量の変化

②下図はNa金属と水との反応で、NaOH水溶液がアルカリ性を示すことを確認するために、NaOHをNaとOHのイオンで書こうとしているところである。先生方の間違いは Na→Na+H2Oと書くことであった。OHがなかなか書けない。NaOHが塩基であることは知っていても、その性質はOHが現すことをよくわかっていないようである。模擬授業方式は今回のセミナーに有効であった。

③ 電流計、電圧計の使い方、オームの法則 課題の定量実験である。

始めに直列回路、並列回路図を板書し、乾電池と電流計の直列接続、電圧計の並列接続を説明した後、実習を始めた。案の定、接続ができない。電流計の直列接続、電圧計の並列接続の仕方が板書を見ても分からないようである。手伝いながら進めると、1.0Aと5.0Aの端子のどちらが良いかわからない。端子を変えて針の触れ方を確認すれば良いが、初めて電流計、電圧計に触れる参加者もいるようで、学生と同じ技術レベルであった。これまでほとんど経験がないので仕方がない。回路が完成した後、電流計が指す針を読み取るが、読み取りができない。例えば、1.0Aの端子に接続してあっても、5.0Aの目盛りで読もうとする、一目盛りは0.1と信じているから、図のような場合、一目盛りが0.02Aになることがなかなか理解できない。正解が出た時は皆の拍手が起きた。しかし、この後、目盛りが0.06Aを指しているところを0.03Aと読んでしまうのである。時間をかけた後、皆理解をしたが、これは、日ごろ計測する習慣がないことが一因していると考えられる。エチオピアの生活は量を測るのは、市場で使っている秤しか見ない。図のような果物や野菜の量り売りで使うもので最小の重りは500gである。

この後、オームの法則を確認するために抵抗の計算に入ったが、中には疲れて投げだす参加者も見られた。定量実験はやはりハードルが高いようであった。学生のレベルがそのまま教師のレベルになっていることがよく理解できた。理科教育の課題が理解できたという点では良かったが、それにしてもこのレベルでは・・・・。

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実施 2014年5月17日(土) アセラ教員養成大学 参加者 25名

大学には顕微鏡が多数あり、小学校に顕微鏡を移動することは大学から許可が下りず、搬送も困難なので大学での開催とした。大学でセミナーを開催することは、大学が義務教育の拠点校になっているという点でも意味があった。

時間 内容
09:00 – 10:20 顕微鏡の扱い方、コルク片の観察、タマネギの表皮細胞の観察
10:20 – 10:40 休憩
10:40 – 12:00 人の口腔粘膜上皮細胞の観察、気孔の観察、小学校教員用申請書の説明

1 顕微鏡実習

小学7年と8年の教科書には植物細胞、動物細胞の構造と説明があり、多くの時間割り当てられ重要な内容になっている。教科書には顕微鏡の操作方法も記載され、内容は日本の高校の教科書と同じレベルである。顕微鏡観察のプリントを用意し、一通り使用方法を説明し顕微鏡の扱い方から始めた。

①顕微鏡の操作方法

参加者は机の上の顕微鏡を遠巻きに見ているだけで、操作が始まらない。接眼レンズが光軸からずれた状態でも見ようとし、何も見えないことは当然であるが、どうしてよいか分からない。レボルバーを回して対物レンズを垂直にすることが説明後でもわからないようであった。レボルバーの使い方からはじめ、次に反射鏡の角度を変えて集光する練習をした。

②コルク片の細胞観察

コルク片の観察はロバートフックが世界で初めて顕微鏡観察をし、その記録を残したもので、顕微鏡観察をする上で重要な観察にもなる。また、試料が扱いやすく切片作りも比較的簡単なため実施した。コルク片の切り方を演示し行ったが、カッターナイフの扱い方に慣れておらず、薄く切り出すのが難しいようで、切片は厚く光を通しにくいものが目立った。中にはコルク片の側面を切っている者もいて、予想できないことが起きた。一人ずつ切片の切り方の指導を行った。部屋は生物室であるが、採光が悪く、顕微鏡観察には電気スタンドの用意も必要であった。

③タマネギの細胞観察

タマネギ(りん葉)の内側の若い細胞と外側の老い細胞を観察し、大きさの違いを確認することをねらいにして実施した。はじめに若い細胞と老い細胞の違いを質問すると、若い細胞はまだ成長段階で「軟らかく」、老い細胞は成長し終わり「硬い」という意見が多くでた。その通りではあるが、細胞観察をするとどのような違いが見られるのかという質問で、若い細胞は小さく、老い細胞は大きいという回答を期待したがなかなか出てこなかった。タマネギの表皮は薄く剥ぎ取りやすいため多くの参加者が自分でプレパラートを自作し表皮細胞を顕鏡することができた。しかし、中には表皮を反射鏡に置いたり、スライドガラスに載せずに直接ステージの上に載せて観察しようとする者もいて、これには本当に驚かされた。細胞観察には核を染める染色液が必要で、日本であれば酢酸カーミン、酢酸オルセインを利用するがアセラ大学にはないため核の確認がしにくく、染色液の購入が課題になった。

④人の口腔粘膜上皮細胞

動物細胞と植物細胞の違いの一つは、動物細胞には細胞壁がなく、植物細胞には細胞壁があるということである。この違いを確認するためにも口腔粘膜上皮細胞を観察することは重要である。しかし、自分の口腔粘膜上皮細胞を取るのをためらう参加者もいて、また、細胞が小さく観察技術も必要であるため、タマネギとの細胞の比較が十分行えなかった。

⑤気孔の観察

気孔の観察方法はセロテープを葉の裏に貼り付け、強く押して表皮を剥ぎ取り、セロテープを観察する方法で行った。柔らかい葉を用いて行ったが表皮の剥ぎ取りが悪く、気孔を確認するのに時間を要した。直接表皮を剥ぎ取った標本を用意し、参加者が観察できるようにすると、教科書で見ていた気孔を初めて見て驚きと喜びの表情を見せた。

当初の目的は、低倍率から高倍率に切り替えて観察する技術まで行う予定であったが、この技術はまだまだ無理であった。終えてみると、初めて顕微鏡に触れて初めて実物の観察をしたのだから、その経験ができただけでも良かったかもしれない。

2 課題と問題点

①顕微鏡の購入

細胞観察のためには、顕微鏡はなくてはならないが、小学校には顕微鏡は一台もない。だから先生方も実験技術を身につける機会がなくできないのである。後でわかったことであるが、私立の小学校には顕微鏡はあり実習が可能である。なぜ公立の学校にはないのか、物品購入の予算の組み方がどうなっているのか、教師や教育委員会の予算の使い方を知り、そこから改善していかなければならないようだ。

②途中帰宅者

実習の途中で数人が帰ってしまった。それは、日当が出ないことがわかり、途中で帰ったのであった。日当がでない研修は参加する意味がないようだ。これがエチオピアの現状で、これ以降参加者から日当の要求が出され、私たちの課題になった。シャイサービスはボランティアが行い、教育事務所は参加者の交通費すらださない。JICA事務所はもともとそのような方針はない。科学セミナーが参加者に意味があるにしても、交通費さえ出ないのは、参加者からすれば大きな問題である。この仕組みをどう変えるかが、最後まで課題となった。もし、最初からこれを解決しようとしてセミナーの計画を立てていたら、セミナーは開催できなかったにちがいない。セミナーの回が進むほど、教育事務所は非協力的になっていった。つまり、セミナーは日本から来たボランティアがやりたいからやっているだけ、ともいえる態度に変わっていったのである。私たちボランティアはこのような環境の中で、最後まで日当なしで行った。セミナーの内容に賛同し、最後まで参加を続ける先生方に支えられて継続することができた。この点は参加者に感謝したい。

③申請書の説明

各学校には予算があるが、請求のための「様式」が用意されておらず、先生方は予算請求の方法を知らないようである。JOCVが「様式例」を作製し、記入の仕方など説明し、各小学校で予算請求ができるようにした。先生方どうしで意見交換する場面も見られたので、学校で実験に必要な試薬、実験器具などの購入を期待したい。

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実施 2014年11月22日(土) 会場 アセラ小学校 参加者 25名

スケジュール

09:00~10:30 アルコールランプの製作  酸と塩基の指示薬

硫黄とマグネシウムの燃焼            (化学)

10:30~10:40 休憩
10:40~12:00 硬貨の密度                   (物理)

エチオピア小学校講師 化学1名

改善点と成果、課題

(1)エチオピアの教師がインストラクターを務める。

このセミナーはボランティア帰国後もエチオピアの先生方が継続していくことをねらいにしている。そのために今回からインストラクターをエチオピアの教師にお願いして担当してもらうことにした。JOCV配属の小学校に熱心な化学専門の教師がいて、意欲的に担当してくれることになった。これも日ごろの活動でJOCVと配属先教師の間に良好な人間関係が築かれているためである。ボランティアの活動を円滑に進めるためには、任地の人たちとの日頃の信頼関係が重要であることを改めて認識した。テーマの1~3をエチオピアの教師が担当し、4をJOCVが、5をSVが担当した。エチオピアの先生はアムハラム語(現地語)で説明していたので何を言っているかわわからなかったが、参加者の熱心な集中した話の聞き方からセミナーの意義、必要性について話をしているようであった。また、実験中先生方が熱心に討議し互いに確認しあっている様子が常に見られた。また、セミナー終了時には次回の科学セミナーのインストラクターを物理の教師が担当することが決まった。

 

 

(2)「世界の笑顔から」の提供品の利用

開発途上国にボランティアを通して、物品を提供し任国のために役立てる仕組みがある。これを利用して、ケニス(株)から多くの実験器具がアセラの公立小学校に提供でき、提供品を利用した実験が行えるようになった。(詳細は別途報告)上皿天秤の提供があり、硬貨の密度測定の実験で、硬貨の質量を測定するのに利用した。扱い方が簡単で人による誤差が小さく、エチオピアの硬貨の質量が測定できたため、硬貨が重りとして利用できることにもなり、大変良かった。

(3)実験テーマの選定

これまではボランティアが実験テーマを選定していたが、アンケートをとり先生方に希望の実験テーマを書いてもらい、先生方が希望するテーマで実験を行うことができるようにした。

(4)日当について

「日当が必要」と要望する参加者が数名おり、他の教師も同じ考えなので、教育事務所の担当者にセミナーに参加してもらい、先生方の要望を聞いてもらい話し合うことが決まった。

(5)次回から、物理、化学、生物に講習を分けて、先生方が専門科目の実験に参加できるようにする。人数も少数になるので集中的に実施できることが期待出来る。

以上のように第一回から回を重ねるごとに、内容が充実し先生方が授業で役立てるものになっていると評価できる。

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実施  2014年12月27日(土) アセラ小学校 参加者 23名

エチオピアの小学校講師 物理1名 化学1名  高校教師 生物1名

スケジュール

化学 物理 生物
9:00-9:30 日当の支払いについての協議
09:30-10:30 化合物と混合物の分離

水素の発生

温度と熱 方位磁針 電磁石 顕微鏡の使用方法と植物組織の観察
10:30-10:50 休憩
10:50-12:00 蒸留 クリップモーター 仕事の原理 顕微鏡の使用方法と植物組織の観察

実施内容

1 教育事務所と先生方の協議

・日当の扱いについて:教育事務所からは担当者の代理が出席して話し合った。参加者から交通費などの日当が出ないと参加できないという意見があり、このままではセミナーの開催が危ぶまれるという意見が出された。代理出席者は教育事務所に持ち帰って報告するとい、この日の話し合いは終了した。

その後の顛末

代理出席者は、当日の朝、本来出席する予定であった担当者から電話を受けて代理出席を依頼され急遽来たということであった。教育事務所に帰り、先生方から出た意見、要望を当然伝えているはずである。日本であれば、誰もがそう思う。そうでなければ代理出席の意味がない。しかし、代理出席者は教育事務所で報告をしていなかったのである。そして、教育事務所の本来主席する予定であった担当者は、話し合いの内容を代理出席者に聞くはずであるが、何ら聞くこともなかったというのである。これでは、代理出席の意味が全くない。なぜ、このようなことが起きるのか。要するに、最初から日当の話は面倒なことになるので避けたがっていたのである。現場の先生方のことは全く考えていないのである。エチオピアではこういうやり方が通用し、上位(教育事務所)が下位(現場の先生方)を無視することが普通のことのようだ。呆れて物がいえない。これまでのエチオピアの活動で、このことが最も落胆したことであった。「改善」という言葉はほど遠いのか。先生方は上位に意見を言わないことが、定着していることがわかるようになっていった。

2実験講習

物理

①温度と熱 : 温度の単位

教科書には摂氏、華氏と絶対温度の関係の公式が記載されているが、導き方の説明はない。 エチオピア小学校の講師が、理解が不十分な先生方のために公式の導き方をていねいに板書し説明した。水の沸点は100℃であるが、高度2400mのアセラでの沸点を質問すると100℃以下であることを理解しており、気圧の低下に伴い沸点が下降することを学校の授業に取り入れることを確認した。熱の伝達方法である伝導と対流について、教科書に記載されている図を実験で再現し、教科書通りに実施できることを確認できた。

②方位磁針、電磁石、クリップモーター

参加者自身が方位磁針、電磁石、クリップモーターを製作し、その理論を学習した。どの実験も身近な物を再利用したもので製作し、経費がかからない実験器具を作製できたので各学校で授業に取り入れることを期待したい。

③仕事の原理

定滑車と動滑車、斜面上の仕事 サイエンスキットにある教材で製作した。

今回の物理実験は視覚により結果が判断でき、身近な材料で製作できるものばかりなので、学校の授業でも取り入れやすい実験である。実験器具の製作も行ったので、この技術を学校に持ち帰り授業で実践することを期待したい。

化学

化学教師のみのワークショップであったため、より実際の授業に則した意見交換がなされていた。例えば、本実験の代用器具や各薬品の入手方法などの情報共有を行っていた。(スタンドおよび枝付きフラスコ→サイエンスキットにあるボードや穴付き栓、フラスコなどで代用可能である等)化学分野での参加者は5名程度であったため、今までよりも少人数であり、すべての参加者が実験に参加できた。演示用は大学から貸与した実験器具を一式揃えて紹介し、参加者にはサイエンスキット(実験道具箱)から代用できる器具(スタンド→ボード、枝付きフラスコ→穴付き栓と試験管)やローカルマテリアル(亜鉛→乾電池の外側を使用)を用いてワークショップを行うことで、各学校でも実験を行うことが可能であることを理解してもらえたと感じた。

生物

顕微鏡の倍率計算と顕微鏡の種類についての説明、および焦点を合わせる練習を行った。以前のセミナーでは、参加人数が多く、一人一人が使い方をマスターするまで指導の手が回らなかった。しかし、今回は少人数であったため、マンツーマンで指導でき、参加者は順番に焦点を合わせる練習ができた。今回は焦点を合わせることに重点を置いたため、プレパラートの作成は行わず、サンプルのプレパラートを使用し、調節ねじの練習のみを行った。最初は焦点がぼやけてしまい、観察しにくかったが、練習を繰り返すうちに低倍率から高倍率まで焦点を調節できるようになった。初めは難しい顔をしていた参加者も、最後には達成感の表情であった。とはいうものの、まだ反射鏡の使用や、プレパラートの位置移動などは練習できておらず、次回のセミナーでも引き続き、サンプルのプレパラートでの練習が必要であると感じた。今回は事前にアナウンスしていたものの、顕微鏡を持参した学校は1校のみであったため、各人の使用時間は少なかった。次回は顕微鏡を確保できるように事前のアナウンスを徹底し、できる限り各人の使用時間を確保したい。今回講師を行った高校教師は、「講師を行う前までは、生徒ではなく小学校の先生に教えることができるのか不安だった。しかし、実際は多くの発問があり、回答することができた。これは自分の自信になった。」と言っており、講師を行う側にも大きな意味があったと感じた。

3 振り返り

① アンケートの結果

科目 内 容
物理 良い。セミナーを続けて欲しい。
化学 素晴らしいが、予算がない。私たちの学校には実験器具がない。もし、器具を

手に入れられるならば、自分たちの学校でも実施できる。

生物 時間通りに始めて欲しい(2)。教員にとってこのセミナーは大切である。お茶

だけでなく、日当を用意して欲しい。セミナーの開催に感謝している。

②アンケートからの考察

・セミナーに参加する意思はあるが、自分で器具を揃えて実践する気はない。

・セミナーに意義を感じて参加してくれている人と、学校からの案内があったために来ている人がいる。案内があったために参加している人は、今後日当がなければ参加しなくなる可能性がある。

・良い点:参加者の討議が活発である。実験中お互いによく質疑応答をして実験内容を理解しようとする。これは毎回見られることであり、エチオピアの先生方の良い点である。この良い点を伸ばすためにも、事前に質問を用意しておき、先生方の知識や技術が高まるようにしたい。

4 課題

①日当の話し合い:今回は参加者の意見を聞き、教育事務所に持ち帰り、次回に教育事務所の考え方を参加者に説明することになった。次回には先生方が納得できる話し合いを期待したい。

②講師を担当する先生には、講座を充実し、他の先生方を育てるという意識が必要となる。参加者のことを意識して、準備の段階から物品の用意、説明の仕方、質疑応答の予想などの準備が必要である。講師役を多くの先生方が経験し、お互いの研修の場となるような実験講習会にしていきたい。

③現地の講師各科目2名の必要性:現地の教師のみで運営する場合、講師が2名であれば双方で補い合い運営できるので2名の方が良い。

④事前実験の充実:演示実験の失敗は講座の目的を達成できないことにもなるので、現地の講師とボランティアが共に実験の準備をし、失敗のない実験ができるように確認をしておく必要がある。現在は、まだこの準備が重要な段階である。

⑤ハンドアウトの作成:現地の先生方はまだ自身でハンドアウト作りができない。書き方の指導、ワードなどコンピューターへの入力などの基礎的な指導も必要である。

⑥前日までの実験道具の搬入準備:各学校にある実験器具の持参を事前に呼びかけていても、実際に持って来る参加者はほとんどいない。今回顕微鏡の持参を事前に連絡していたが、持参した参加者はたった一人であった。実験の能率が悪くなり、時間のロスも大きくなる。その対策として、前日までに必要な実験器具などの準備を完了させておく。

⑦実験中、実験後の片付け:次の実験に移る時、前の実験器具の片づけをしないまま次の実験に移ることがある。実験台が乱雑になり、実験に支障をきたすことを考えようとしない。日頃の整理整頓の意識の欠如が原因と考えられる。

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実施 2015年2月28日(土) 会場 アセラ小学校 参加者 16名

スケジュール

化学 物理 生物
09:00-09:30 日当の支払いについての協議
09:30-10:30 過マンガン酸カリウムの溶解

酸と塩基 指示薬1

光りの直進

ピンホールカメラ

顕微鏡(玉ねぎの細胞)
10:30-10:50 休憩
10:50-12:00 酸と塩基 指示薬2 反射の法則 2枚の平面鏡による像の数 顕微鏡(口腔上皮細胞)

エチオピア小学校講師 物理1名 化学1名

(1)日当の支払いについて教育事務所との協議

これまでに要望が出されていた日当の支払いについて、教育事務所の担当者に参加してもらい、初めて先生方と教育事務所の話し合いがもたれた。教育事務所はアセラ内でのセミナーについては、日当、交通費は支払いはしないという。来年については検討するという。アセラ以外での研修会への参加は支払うという。先生方は納得できない。アセラ教員養成大学も同じ見解で、アセラ内でのセミナーには支給はしないという。主催がJICAボランティアのためか。現状では参加者はボランティア参加でしかない。継続性に不安が出てきたが、これまでもエチオピアの先生方に支えられてきたので、内容を充実させていきたい。

(2)実施

物理

エチオピアのインストラクターが主導的に実験方法、理論を説明し、参加者が討議しながら進めることができた。教材も簡便で授業に導入できるもので、ボランティアはサポート役に回った。教材の事前準備を全てボランティアが行っていることには問題がある。身近な材料からできる実験教材はエチオピアの人が自分で作るようにしなければならない。セミナーで教材作りをする時間配分をする必要がある。

化学

酸と塩基の指示薬 タマネギの皮の抽出液で、酸との反応は赤色、塩基との反応は黄色になることで確認できる実験である。しかし、ある参加者からフェノールフタレイン溶液、メチルオレンジなどを常備する必要があるという意見がでた。もっともな意見で、市販の指示薬で酸、塩基を確認し、その後でタマネギの皮の抽出液で色の変化を見るという方が実験としては理解がしやすい。代用品やローカルマテリアルの活用も大切であるが、やはり本物を使用することが最善であることを実感した様子であった。同感である。

生物

顕微鏡の提供が「世界の笑顔」からあり、タマネギの表皮細胞、口腔上皮細胞の観察をした。前回までは粗動ねじの調節のみで観察していたが、今回は微動調節ねじも活用し、より的確に焦点を合わせることができた。少人数であったため、2人に1台の顕微鏡が確保でき、低倍率から高倍率に切り替えて観察することもできた。最終的にすべての参加者が、顕微鏡操作を習得し充実した研修になった。

4 課題

① 講師を担当する先生には、運営側の立場であるという意識が必要である。事前の準備段階で、ボランティアからの指示に受身になるのではなく、責任を持って講座を持ってもらえるようにしたい。

② 現地の講師各科目2名の必要性:現地の教師のみで運営する場合、講師が2名であれば双方で補い合い運営できるので2名の方が良い。

③ 事前実験の充実:演示実験の失敗は講座の目的を達成できないことにもなるので、現地の講師とボランティアが共に実験の準備をし、失敗のない実験ができるように確認をしておく必要がある。

④ 本セミナーで実施した実験が各学校で実施されるためのサポートが必要である。そのためには、紹介する実験内容を参加者のニーズに合わせ、各学校で実施できる環境であるのかを把握する必要がある。必要であれば、学校訪問して生徒実験をTTすることも必要と考えられる。

⑤身近な材料で製作する教材は創意工夫という点では評価できるが、代用品での実験には限界がある。加熱実験では試験管の代用品はない。試薬の代用も困難である。やはり、市販の実験器具、試薬を学校で購入していく計画が必要である。エチオピアの先生方の意識を改善していくことの必要性をセミナーの回を重ねるごとに強くした。

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1実施 2015年3月28日(土) アセラ小学校 参加者 23名

2セミナーのスケジュールと実施内容

スケジュール

化学 物理 生物
09:00-09:30 理科教育研究協議会設立についての説明
09:30-10:30 乾電池の分解 二酸化マンガン、塩化アンモニウム、亜鉛の取り出し 液体の圧力

パスカルの原理

 

顕微鏡(単細胞生物)
10:30-10:50 休憩
10:50-12:00 酸と塩基の中和滴定 大気圧、サイフォン

反射鏡による像のでき方

肺モデル、植物のつくり、水の浄化

講師 エチオピアの先生 物理1名 化学2名

私立の学校にも科学セミナーの案内をし、先生方が参加できるようにした。

内容

「理科教育研究協議会」設立趣旨の説明

ボランティアが帰国した後も科学セミナー開催の必要性を説明し、今後はエチオピアの先生方自身で科学セミナーを開催することを提案した。先生方は実験の重要性を認識しており、実験技術の習得を望んでいるので、次回は現地の先生方が協議し設立に向けて同意が得られることを期待している。本セミナーは予算なしで実施してきた。課題は予算確保であり、ファンドなどを利用し予算を確保できるようにしたい。

以下の内容を提案した。

理科教育研究会の設立について(提案)

1.設立理由:理科教育の向上のためには、実験を取り入れた授業の充実が課題になっている。ボランティアが帰国した後、実験講習会(科学セミナー)を継続していくために、先生方が自ら実験講習会を実施する組織が必要である。そのために理科教育研究会を設立する。

2.目的:理科教育の向上、実験を取り入れた授業の充実のために実験講習会を実施する。

3、構成:アセラの理科の先生方で構成する。

4.参加方法:参加は任意である。

5.組織:会長 1名、副会長 1名 事務局 担当校1校 会員 参加者全員

5-1.分科会:物理部会 化学部会 生物部会の3つの分科会とし会員はどれかに所属する。各会のリーダー:1名

5-2.運営方法

先生方が自ら実験講習会の予定を組み実施する。

日時 会場、スケジュール、トピック、教材、ハンドアウトなど実験に必要なことを話し合って決める。

協力依頼:アセラ教員養成大学の協力を得る。試薬、実験器具など必要な物品の貸し出し、提供を依頼する。

*課題

会費: ハンドアウト、申請書、報告書などのコピー代、お茶などの消耗費

(1)講師(エチオピアの先生)との事前協議の内容

アンケートで要望のあったものから、ボランティアと協議し、教科書に記載されているものを選択決定し、教科書通りの実験ができるようにした。物理の実験書は、講師(エチオピア人)が手書きしたものをボランティアがパソコンで入力、印刷した。化学の実験書は現地語(オロモ語)版を講師が、英語版をボランティアが作成し、英語の不得手な先生にも使いやすいものを用意した。予備実験を行い準備を万全にした。生物は、小学1年から6年の低学年のみを担当する教師から、低学年対応の内容の要望もあり、「植物のつくりや肺モデル」を講師と相談して選んだ。

(2)実施内容

物理

図のように講師が教師役で講座を進めた。教科書に載っている実験なので参加者も取り組みやすく意欲的に討議した。

化学

①2人のエチオピア人理科教師に講師役と補佐役としてそれぞれ依頼していたため、講座をエチオピア人のみで運営できた。

②今回は私立の理科教師も参加しており、各学校の現状や問題点についての情報交換の場となった。

③教科書に記載される実験を身近な材料を用いて紹介したため、教材のない学校であっても実施しやすい内容であった。

生物

①前回までは、低学年のみを担当する参加者にとって、授業で実践できる実験がなかったが、今回は、担当する学年に関連する実験を紹介できたので、授業で活用でき参加者の満足度も高かった。

②今回は私立の理科教師も参加し、公私立の情報交換の場ともなり良かった。

アンケート結果より

実験内容が良く、継続を希望している点は、科学セミナーへの理解が定着していると評価できるが、「学校に予算がない、マテリアル(実験器具など)が欲しい」という要望が出される。これは、科学セミナーで研修を受けても、学校の授業では実験を導入できない、ということである。この問題を解決するためには、学校の予算で実験器具を購入するシステムを行政と学校が相談して決めていかなければならない。しかし、エチオピアはトップダウンの国であり、ボトムアップによる改革は、現状では困難である。

当面の解決策

前回のセミナーで各学校が必要とする試薬や実験器具を一覧にまとめて提出することを説明し、今回4校からの提出があった。アセラ教員養成大学に提供についてお願いをすると、試薬の提供はできるが実験器具の提供はできないという回答であった。ただし、科学セミナーで必要な場合は、貸し出しはできるということである。今年度「世界の笑顔」と、USAID(米国支援)から各学校に実験器具の無償提供があった。このような援助からエチオピアでは無償提供は当たり前と考えている。学校に予算が全くないのならば理解出来るが、各学校には毎年予算が組まれている。各学校で予算の使い方を工夫して実験器具を少しずつ購入していくべきである。このような考え方、姿勢が見られないのが現在のエチオピアの現状である。意識の改善がなされなければ、いつまでも実験器具などは準備できず、授業に実験を取り入れることは難しく、理科教育の向上にはつながらない。本科学セミナーは実験指導を通して、エチオピアの先生方が自ら実験器具などを購入する意識の改善をねらいにしているつもりであるが、残念ながらそのレベルには達していないのが現状である。今後は各学校で理科実験のために予算を配当するように先生方に働きかける必要がある。


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実施 2015年5月16日(土) アセラ小学校 参加者 23名

スケジュール

化学 物理 生物
09:00-09:30 理科教育研究協議会設立について
09:30-10:30 硬水と軟水の比較

一時硬水の軟水化

音、コンパス

磁界、帯電

顕微鏡

(花粉、水生生物)

10:30-10:50 休憩
10:50-12:00 永久硬水の軟水化 電圧計と電流計

電磁石、モーター

光合成

喫煙の影響

実施内容

理科教育研究協議会について

事前にこれまでの参加者の中から協議会の会長、副会長、事務局(会場校)を決めておいたので、会長が参加者に協議会への参加、登録を呼びかける説明をした。登録者は化学6名、物理7名 生物8名、計21名で発足が可能な人数が集まった。ボランティアが帰国した後、先生方が自主的に運営していくことが原則となるが、これまでと同じようにセミナーを開催するには、大学からの物品の貸し出し、予算などの課題がある。幸いボランティアの後任が決まっているので、引継ぎでボランティアの役割を伝え、来年度も同じようにセミナーが開催できるようにする予定である。また、教育事務所は6月に来年度の予算について検討すると言っているので、予算が認められることを期待したい。今後は、経費や運営方法の確立が課題となる。また、セミナーを継続するには、大学に理科研究協議会設立の意義を説明し、実験器具の貸出や薬品提供に引き続き理解してもらうことが必要である。来年度もボランティアが関わることで、運営をボランティアからエチオピア人理科教師へと移されることを期待する。

物理 

教科書の実験例に沿い、実験道具はすべて身近な材料から作ったものを使用した。そのため先生方が授業で導入しやすい講習会になった。

1 音 糸電話は糸にストローを通すことでストローが振動し、糸の振動を視覚化した。また、ペットボトルを半分に切ったものを二つ用意し、二つをつなぎ音が伝わるようにし、一方をラップで包み上にパン粉を乗せて、他方から大きな声を発するとパン粉が小刻みに動いた。声が空気を振動させ、その振動がラップを振動させ、空気の振動を視覚化できた。

2 不思議な電磁石 釘の中心から銅線を巻き付ける向きを反対にし、一本の釘に二本の電磁石を作った。こうすると釘の中心でも磁力が生じ金属は付着する。一本の電磁石では中心では磁力は生じない。この教材は、参加者にとって初めて見る教材で興味を示した。また、鉄粉の代用として市販のスチールたわしをはさみで細かく切り刻んだものを用意し、二本の電磁石の磁界を確認した。1本の電磁石と比較し、二本の電磁石の視覚化ができたことは、一歩進んだ教材となった。

 

・これまでの課題

物理は教科書にある実験を身近な材料を使って行うことができるので、エチオピアの先生方が取り組みやすい。ボランティアが多くの実験器具を作製し、セミナーで演示できたのは良い点であったが、参加者が自ら教材作りをする時間が十分なかったので、今後はセミナーで参加者が教材づくりをすることが課題である。定量実験は、昨年のセミナー開催当初は、摩擦力の測定などの実験を行ったが、参加者の計器の読み取りの技術不足などがあり、その後、定量実験はあまり取り入れられなかった。定量実験は物理の法則を理解するためにはなくてはならない実験であるので、来年度は定量実験を取り入れたセミナーになることを期待したい。

化学

(1) 2人のエチオピア人理科教師に講師と補佐役を依頼していたため、前回同様にエチオピアの理科教師のみで運営できた。

(2) 今期の学習単元から実験を紹介したため、生徒実験を実施しやすい内容であった。

(3) 各配属先での薬品や器具の調達方法について、参加者同士で情報交換することができた。

これまでの課題

教科書に沿って、記載されている実験を中心に紹介を行った。そのため、各学校で実践しやすい内容であった。しかし、各学校には十分な薬品および実験器具がないことを理由に実践できていない学校が多い。今後は参加者が自主的に実験室整備を進め、セミナーで経験した実験を生徒実験できる環境を確保することが課題である。また、これまでのセミナーでは、講師中心の実験になってしまい、参加者一人一人が実践する機会が少なかった。今後、各学校で生徒実験を実施するためには、まずは参加者自身が実験を経験する必要がある。

生物

エチオピアの理科教師が講師を担当したことで、質疑応答が以前よりも活発になった。

すべての参加者がプレパラートを作成し、ゾウリムシやミジンコなどの水生生物を確認できた。参加者から「生徒実験をしたいが器具がないため、サポートしてくれないか。」との要望があり、本セミナーで扱った光合成実験を後日、生徒実験に結びつけることができた。

これまでの課題

これまでのセミナーでは、生物の授業において最も重要である「顕微鏡」を中心に取り扱ってきた。多くの参加者は、焦点を合わせたり、対物レンズの倍率を変えたりする技術は習得できた。しかし、プレパラートの作製についてはまだ習得できておらず、加えて毎回の参加者が入れ替わることから、今後も顕微鏡の練習を継続する必要がある。顕微鏡の使用は何度も練習を重ねて慣れることが大切なので、少人数対象に練習を繰り返す必要がある。その他の実験に関しては、参加者の中に低学年を担当する教員が多いことから、高学年用と低学年用の実験紹介を行った。高学年向けには教科書に記載のある実験を、低学年向けには教科書に記載される実験が少ないため、教科書の内容に沿った実験をローカルマテリアルを用いて紹介した。これまでは実験や器具の作製(肺モデルやろ過装置)で終わっていたので、その器具をどのようにして授業に取り入れるかなどを討議する時間が確保できれば、より生徒実験に結びつく内容にできると思われる。

セミナー実施後の評価

アンケートの結果(特記すべきこと)

化学 ・今後は自分たち自身で継続していくべきだ。そのためにはJICAの協力が必要だ。 ・知識を得るために、有意義で重要なセミナーであった。 ・私たちはこのセミナーで学んだ実験を各学校で生徒実験しなければいけない。 ・教員らが協働すればもっと多くの実験を実施できる。 ・参加者はモチベーションを持っている。JICAはこれからも私たちをサポートしてほしい。
生物 ・セミナー開催に感謝している。
物理 ・良いセミナーであった。感謝している。 ・ぜひエチオピアへ帰ってきて、理科教員とともにエチオピアの理科教育の改善を継続してほしい。 ・理科教育の改善によい影響を与えてくれた。

重要課題 実験器具および薬品の調達について

化学講座において、講師の先生より、実験器具および薬品の調達方法に関する討議を実施した。現在、アセラ小学校では、大学に薬品提供を依頼し、不足する実験器具は首都で購入することで補っている。しかし、他の小学校では依然として薬品・実験器具が不足しており、それを理由に生徒実験を実施できていない。そこで、アセラ小学校の実践例を挙げ、各学校で予算を確保するための方法や薬品・実験器具を確保することの必要性と手段などを情報共有した。ボランティアは実験指導を通して、エチオピアの先生方が自ら実験器具などを購入しようとする意識の改善をねらいにしていたが、残念ながらそのレベルには達していないのが現状である。現在、学校の予算を確保し、実験器具の購入を予定している学校は、一校のみである。今後、物品購入する学校が増え、アセラ市内の全小学校で理科教育のための予算確保ができる環境をどのようにして作るのか、今後の課題である。

 

 

 

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