浜松地域は、巨大地震発生で波高10m以上の津波に10分で襲われると想定されている。命を守るために重要なことは避難中に高さ50cmの津波に襲われないように避難できるかどうかである。津波を見てまだ大丈夫と思っているうちに、一気に50cmの津波は押し寄せて来て、成人も転倒しそのまま流される。漂流物が体にぶつかり、泥流を飲み器官や肺に詰まり窒息する。津波で死亡するのは10mの津波ではなくわずか50cmの津波であることを理解し、そのための防災を考えなければならない。

浜松地域には海抜2~3mの海岸平野が広がり、津波が海岸から内陸まで押し寄せてくる可能性が極めて高い。最大のリスクは平坦地で避難できる高台がなく、タワー、避難ビルなどの人工物に頼わざるを得ないことである。市が指定する津波避難ビルは、半径500m、20分以内に健康な人が徒歩避難できる範囲である。津波浸水域の防災マップを見ると避難ビルの配置は遍在しており、とても全ての住民が避難できる数はない。老人、障害者、乳幼児を抱えた母親など災害弱者には20分以内の避難は困難であることは言うまでもない。地震動で家屋が倒壊すれば成人でも避難は困難になる。住民の命を守るためには、避難ビルの指定を災害弱者の避難可能な範囲に見直し、避難ビルの指定を増やす以外に方法はない。ビルの所有者はこのことを理解し、是非避難ビル指定に協力していただきたい。また、できるだけ多くの避難タワーを増築することも必要である。また3.11の東北地震では、東北自動車道が防波堤の役割を果たし、津波の侵入を防止したことが明らかにされた。新幹線の軌道の盛り土は東北自動車道と同じように津波侵入を防ぐことが期待出来る。避難ビルが不足している現状では、避難地として利用することも考える必要がある。始めから無理と結論付けるのではなく、可能性を検討してもらいたい。さらに、建設中の防潮堤の16mへのかさ上げは急務である。しかし、防潮堤の完成が、「これで安心」津波は来ても被災からは守られると思い込んではならない。根拠の薄い信頼、安全が避難意識を弱め、被災を大きくするのである。3.11では避難した人が助かり、避難しなかった人が亡くなったことを忘れてはならない。