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新川下流域の干潮時の水質

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辻野兼範

(静岡県立浜松北高等学校 教諭)

要約

新川下流域は下げ潮時には 佐鳴湖よりもPO4-P、DINが多く、佐鳴湖への負荷源として働いていることが明らかになった。特に志都呂橋付近のPO4-Pが高いことから、流域河川や排水路からの流入、河床からの溶出により志都呂橋付近に滞留することが推測される。CODとクロロフィルaは逆の相関があり、CODを高くする有機物は植物性プランクトン由来以外の有機物質が考えられ、PO4-P同様、新川流域からの負荷が考えられる。ブイの移動調査で明らかになったように、下げ潮で流入する汚濁物質は上げ潮で佐鳴湖に流入するため、新川下流域は佐鳴湖の負荷源になっていると考えられる。

1はじめに

ブイの移動調査から、下げ潮で佐鳴湖から流出した水は、次の上げ潮で佐鳴湖に流入する1)ことが明らかになった。下げ潮時は水位が低下し、新川下流域に流入する排水路や河川から汚濁物質が流入し2)、上げ潮で佐鳴湖に運ばれることが推測できる。もし、下げ潮時に新川の富栄養化物質が佐鳴湖よりも多ければ、新川流域は、佐鳴湖への負荷源として働き、佐鳴湖の水質は改善しにくいことになる。そこで、下げ潮時の新川の水質を調査し、新川下流域が佐鳴湖への負荷源として働いているか検討した。本報告は、新川下流域が佐鳴湖流域に含まれていなかった時のものである。

2方法

1999年5月3日と7月27日の下げ潮の時間帯に図1のように志都呂橋、堀留川との合流点、佐鳴橋、佐鳴湖橋、佐鳴湖湖心で表層と底層の水を採水した。調査、分析項目は水温、塩分、溶存酸素、COD、クロロフィルa、PO4-P、無機態窒素(NH4-N、NO2-N、NO3-N)である。塩分は塩素量を硝酸銀滴定法で測定し塩分に換算、溶存酸素はウインクラー法、CODは過マンガン酸カリウム法、クロロフィルaはアセトン抽出法、PO4-Pはアスコルビン酸法、NH4-Nはインドフェノール法、NO2-NはN-1ナフチルエチレンジアミン法、NO3-Nはカドミウムー銅カラム法で測定した。

3結果

結果を図2に示す。塩分は志都呂橋で高く、浜名湖からの高塩分水の影響が見られるが、他の地点は2‰以下でほぼ同じで、塩分の分布から佐鳴湖からの流出水で占められていると推測できる。溶存酸素は底層も豊富にある。クロロフィルaは佐鳴湖が200μg/L以上もあり、新川よりも植物性プランクトンが多く生産性が高い。CODは新川でも高くCODとクロロフィルaの相関(図3)から、CODが大きいほどクロロフィルaが小さい傾向があり、植物プランクトン由来以外に河川や排水路からの有機物の流入が考えられる。新川の特徴は、志都呂橋付近でPO4-Pが高いことで、PO4-P とクロロフィルaは逆の相関で係数はR2=0.76と高く、クロロフィルaの低い志都呂橋付近に、下げ潮で新川流域からPO4-Pが流入し志都呂橋付近に滞留すること、7月の底層で高いことから夏は河床から溶出することが推定できる。無機態窒素も新川で高い傾向があり、PO4-P同様に流域からの負荷が考えられる。佐鳴湖でPO4-Pと無機態窒素が低いのは、植物性プランクトンにより吸収されるためである。

PO4-と無機態窒素は植物性プランクトンの栄養塩類として重要な成分で、下げ潮で河川流域から流入し、上げ潮により佐鳴湖に流入し、佐鳴湖での植物性プランクトンの増殖を支える要因の一つになる。新川下流域は佐鳴湖の負荷源になっていると考えられる。

 

まとめ

新川下流域は佐鳴湖の負荷源として働き、志都呂橋付近まで流出した佐鳴湖水は、新川に流入する富栄養化物質を上げ潮で佐鳴湖に運搬していることが推定できる。志都呂橋付近までを佐鳴湖と捉え、新川下流域で富栄養化物質が多くなる要因を解明することが課題である。

 

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