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放水路(新新川)臨江橋での潮汐による流入流出調査―佐鳴湖への負荷量の測定―

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辻野兼範

(静岡県立浜松北高等学校 教諭)

要約

新新川(放水路)の臨江橋で2001年8月30日(中潮)、一潮汐の流入時、流出時に採水し佐鳴湖への負荷の状況を調査した。この日は流出時間が流入時間よりも長く、下げ潮により流出流量が流入流量より多いにも関わらず、NO3-NとCODは佐鳴湖への流入量の方が多く、佐鳴湖に負荷がかかっていることが分かった。流入時の後半時間のCOD、窒素、リンの濃度が高く、この結果は、旧新川の佐鳴湖橋での調査結果と同様で、新川下流域(とびうお橋から掘留川合流点付近)の有機物質や栄養塩類が高く、上げ潮で佐鳴湖に流入してくることを示唆している。

1はじめに

佐鳴湖は台風、集中豪雨のような大量の出水がある時にたびたび氾濫し、流域に洪水の被害を与えてきた。そのため浸水被害を防止するために放水路が湖南部に建造され2000年7月に通水し、これまで以上に上げ潮による下流域からの流入量が多くなった。放水路が潮汐により佐鳴湖への物質の出入り、負荷にどのような影響を与えているのか、富栄養化物質の流出量と流入量を調査し、佐鳴湖への負荷量を検討した。

2 方法

調査地点を図1に、舞阪港の潮位を図2に示す。2001年8月30日(中潮)放水路の臨江橋の下にボートを一潮汐係留し、流出、流入の流量、COD、PO4-P、NH4-N、NO2-N、NO3-N、クロロフィルaの流出量と流入量を求め、その差から佐鳴湖への負荷量を測定した。舞阪港の満潮から干潮の潮位差は74cm 、干潮から満潮の潮位さは81cmで上げ潮の方が少し大きかった。

測定地点の川の断面積は、川幅を3等分し3地点の水深を測定し求めた。流速はブイを0.5m層に5.0m流して所要時間から測定した。流量は流速に断面積を乗じて求めた。流出開始時の3地点の水深は1.2m、1.3m、1.2mで川幅は35.6mで断面積は43.9m2であった。毎時間中央の水深を測定し、毎時の断面積を計算した。

3 結果

(1)流速と流量

図3に流速と流量の経時変化を示す。流出を順流(正)とし、流入を逆流(負)とする。下げ潮による流出は5時18分から14時30分で9時間12分と長く、潮止まりの後、すぐに上げ潮が始まり、流入は14時30分から21時までの6時間30分で、流出時間が2時間42分長かった。満潮時の5時16分の放水路中央の水深は1.2mで、干潮時の14時30分の水深は0.83mで、潮位差は0.37mであった。満潮時の放水路の断面積は40.35m2、干潮時は27.17m2で、流速は下げ潮の最大が0.45m/s、上げ潮の最大が0.63m/sで上げ潮の方が大きかった。総流出量は3.67×105m3、総流入量は2.99×105m3で流出量6.8×104m3多かった。

図3 流速と流量の経時変化

(2)水温と塩分

図4に水温と塩分、溶存酸素の経時変化を示す。表層と底層の水温差は0.5℃以内で水深が浅いためである。塩分は調査開始時と終了時の満潮時が13‰以上と高く、この時以外は6.0‰と低い。満潮時に新川下流域の高塩分水が上げ潮で佐鳴湖まで流入してくることがわかる。溶存酸素は表層底層とも豊富にあり低酸素水の発生はない。

(3)CODと窒素、リンの負荷量

CODとクロロフィルa、窒素、リンの経時変化と総流出量と総流入量を図5と表1に示す。上げ潮による流入時間は短いが、毎時の各物質の流入量は流出量よりも多く、流入時間の後半、濃度が高くなっているのが特徴である。後半の流入は新川のとびうお橋から掘留川合流点の付近からの水の流入であると考えられるので、この地域の汚濁が進んでいると推測できる。また、流入の流速は流出の流速よりも大きいことも関係していると考えられる。

 

表1 諸物質の総流出量と総流入量

×104 m3 DIN NH4-N NO2-N NO3-N PO4-P COD クロロフィルa
総流出量 36.66 27.61 10.94 1.6 15.09 28.81 2221.9 53.23
総流入量 -29.9 -20.29 -1.29 -0.87 -18.23 -24.57 -2369.2 -51.68
6.76 7.32 9.65 0.73 -3.14 4.24 -147.3 1.55

単位流量当たりの運搬量 g/m3

  DIN NH4-N NO2-N NO3-N PO4-P COD クロロフィルa
流出量 0.0753 0.0298 0.0043 0.0411 0.0785 6.0608 0.145
流入量 0.0678 0.0043 0.0029 0.0609 0.0821 7.924 0.172
流入量/流出量(倍) 0.90 0.14 0.67 1.48 1.05 1.31 1.19

この日は中潮で流出時間が流入時間よりも2時間42分も長く、流出量は6.8×104m3多かった。2000年8月18日の中潮でのブイの移動調査では、佐鳴湖から流出した水は浜名湖まで流下し1)、中潮は流出時間が長く、この日も流出量が多くなったと推測される。各物質の総流出量と総流入量を比較すると、NO3-NとCODを除き流出量の方が多く、排出効果のある結果となった。しかし、単位 (1.0m3) 当たりの運搬量は流入時が流出時よりもNO3-Nは1.5倍、CODが1.3倍と多く、PO4-P、クロロフィルaも少し多かった。

これまでの調査で下げ潮時の新川下流域の諸物質の濃度が大きい傾向があることが分かっているので、河川や排水路から汚濁物質が流入し、上げ潮で運ばれ、単位時間たりの流入量が大きくなると考えられる。特に流入後半時間の濃度が高いことから、新川のとびうお橋から掘留川合流点の下流域までの汚濁が進んでいると推測できる。

まとめ

排出流量が流入流量より多いにも関わらず、NO3-NとCODは流入量の方が多く、単位時間当たりの流入量は、NO3-Nが1.5倍、CODが1.3倍もあり、PO4-P、クロロフィルaも少し多かった。これは上げ潮による流入水の諸物質の濃度が上がっていることに関係し、新川下流域に流入する排水路や河川が負荷源となり、新川を通し佐鳴湖に流入してくると考えられる。

参考文献 1) 新川の潮汐による水の移動(辻野 2017 HP掲載)

 

 

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