静岡県の遠州灘海岸では津波被災から人と街を守るために、防潮堤建造を2020年終了をめざし、完成した所からマツの植林が進められている。しかし、津波から防潮堤を守るためにはマツよりも広葉樹の方が良いことはあまり知られていない。東北の津波被災では残った一本松に注目が集まったが、多くのマツが流されたことの問題点はあまり報道されなかった。広葉樹がマツよりも津波防災林として優れた点は、①根が深く津波で倒れにくく、防潮堤を波の浸食から防ぐ。②維持管理は最初の3年間の下草刈りだけで、その後は手入れの必要はない。③維持管理のコストが低く防潮堤が維持される。一方、マツは①根が浅く津波で倒れ流されやすい。②成長に広葉樹より時間がかかる。③下草刈りなど維持管理が長く、マツクイムシ防除などコストが大きくかかる、などである。なぜマツの植栽が決定したのか。担当の県土木事務所は、植栽委員会をマツの植林を進める学者で構成したからである。本来は、東北の被災を踏まえ、マツ派と広葉樹派の双方の学者を招聘し検討すべきであった。現在防潮堤の一部には、市民団体による広葉樹の植栽が進められており、広葉樹は根が張り成長が良く、植林されたマツの一部はすでに枯れ始めている。この実態を踏まえ、今後の植林を見直す決断が土木事務所には望まれる。