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ヤマトシジミの幼生発生の適性塩分濃度

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はじめに

段子川河口では稚貝が成長し、1年半年後には殻長20mm以上の出荷サイズにまで急速に成長することがこれまでの養育試験で分かっている。しかし、段子川河口域でヤマトシジミの自然繁殖は確認できていない。この理由は塩分濃度が影響していると考え、ヤマトシジミ発生の適性塩分濃度を調べることにした。

 

1 目的

文献によるとヤマトシジミの発生の塩分適性は3.5‰以上で、これより低塩分では発生はできないとされている。これを確認するために佐鳴湖で養育しているヤマトシジミを母貝として幼生発生時の限界塩分濃度を試験し、また、成貝は淡水でも生存可能と言われているので、これも確認することを目的とした。

2 方法

(1)浜松北高校の実験室で自然受精した受精卵を、佐鳴湖に流入する段子川の水と佐鳴湖水を混合希釈し、0.2‰、0.5‰、1.0‰、1.5‰、2.0‰、4.0‰の6段階に塩分を調整し、 Lの水槽に L入れて、この中に受精卵を入れて発生過程を観察した。翌日から1.0mL水を採水し、発生段階と個体数を記録した(図1)。

(2)塩分濃度を1.4‰、1.6‰、1.8‰、2.0‰に調整し、上と同様に実験をした。

(3)着底稚貝を0.1‰、0.5‰、1.0‰の塩分濃度の水に入れて成長を観察した。

 

 

3 結果

(1)4日後、2.0‰と4.0‰で着底稚貝に変態していることが観察できた。5日後には約40個体/mL、9日後には100個体/mLに増加していた。これに対して1.5‰ではD型幼生まで発生が進んでいることが確認できたが、着底稚貝には発生が進まなかった。これ以下の塩分濃度では早い段階で発生は進まず死滅した(図2)。

(2)1.4‰、1.6‰、1.8‰、2.0‰に調整した塩分濃度の水では2.0‰で5日後、着底稚貝が確認でき9日後、約300個体/mLが確認できた。しかし、1.4‰、1.6‰、1.8‰では着底稚貝は約30個体/mL以下で増加は見られなかった。以上のことから(1)の結果と合わせて2.0‰が着底稚貝になるまでの塩分下限でると考えられる(図3)。

(3)着底稚貝の成長では、0.1‰で殻長0.2mmから7日後、0.25mmに成長、0.5‰、1.0‰では0.3mm以上に成長する結果になった。さらに0.1‰の河川水で80日後まで殻長、約0.25mmから約0.4mmまで成長した(図3)。

 

 

4考察

佐鳴湖の平成20年8月20日から21日までの水温と塩分濃度の変化を図4に示した。調査地点の北岸は河口域で河川水の影響の強い場所である。干潮では水温が約25℃に、塩分は約1.0‰に低下している。満潮では6.0‰と高くなり、湖内とほとんど差はなく、上げ潮では湖内と同じような水温、塩分になる。他の湖内の調査地点では潮汐による変化はあまりない。塩分1.0‰では受精卵は着底稚貝まで発生することができないので、干潮時における低塩分が発生が進まない理由と考えられる。仮に、受精卵が下げ潮で佐鳴湖内に移動し着底稚貝にまで育ったとしても、佐鳴湖は全域にわたりシルト質なので稚貝の生育は極めて困難で死滅すると考えられる。

4 まとめ

受精卵から着底稚貝までの発生は2.0‰が下限塩分濃度であり、これ以下では発生は進まず死滅する。着底稚貝は塩分濃度に影響されず河川水でも成長する。ヤマトシジミの生育に適地の北部河口域は下げ潮で約1.0‰に低下し、受精卵は幼生発生はできないと考えられる。

 

 

 

 

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